1995 Fiscal Year Annual Research Report
半導体表面上のエレクトロマイグレーションの起動力の第一原理計算
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07225218
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
石田 浩 日本大学, 文理学部, 講師 (60184537)
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Keywords | エレクトロマイグレーション / 電子ウインド力 / 表面電気抵抗 / 吸着子振動 / 原子クラスター / トンネル電流 / 時間依存密度汎関数法 |
Research Abstract |
半導体表面上のエレクトロマイグレーションの起動力及び関連深い問題について理論研究を行った。主要な2成果を挙げる。 1.表面電気抵抗:低温(約10K)での金属薄膜(膜厚10-100nm)の電気抵抗は吸着子などの表面状態に非常に敏感である。我々は半無限金属表面の絶対零度での電気抵抗の一般的表式を導き、従来の半古典論の表式との関係を議論した。我々の表式はバルク金属中の不純物残留抵抗の場合同様、フェルミ準位での一電子波動関数の漸近的振舞いで決定される。またB.N.J.Perssonが現象論で導出した表面吸着子による電気抵抗と表面平行方向の吸着子振動の寿命との間の関係式が、吸着子電気抵抗と電流中の吸着子に働く電子ウインド力との間の関係式と同等であることを示し、下地金属が平らなジェリウム表面の場合、上の2関係式が厳密に成立する事を示した。次に具体的応用であるが、半無限ジェリウム表面上の単独吸着子の基底状態の電子状態を、ダイソン方程式に基づく表面グリーン関数法により密度汎関数法の範囲で自己無撞着に決定する計算プログラムを開発した。これと上記の表面電気抵抗の表式を組合せて、金属表面上の単独原子及び原子クラスターの電気抵抗の、下地-吸着子結合距離依存性、吸着子-吸着子結合距離依存性、及びクラスターサイズ依存性を調べた。 2.金属電極間の交流トンネル電流:真空領域を隔てた半無限の2平行金属電極間を流れる交流トンネル電流と電極間の原子に働く力を、印加するバイアス電圧についての線形応答の範囲で計算する方法を開発し、簡単なジェリウム表面の場合に適用した。真空領域での一電子波動関数は平面波的基底関数で展開し、Inglesfieldのエムベッティング法を用いてバルク領域へと接続する。またバイアス電圧によって誘起される障壁ポテンシャルは、時間依存密度汎関数法の範囲で自己無撞着に決定する。こうして計算される交流トンネル電流は振動数0の極限でLandauerのトンネル電流の表式を再現する、言換えれば、2電極のフェルミ準位を有限値ずらして直流トンネル電流を計算する従来の第一原理的トンネル電流の計算方法に線形応答の範囲で収束する事を示した。
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[Publications] H. Ishida: "Microscopic theory of surface resistivity" Physical Review B. 52. 10819-10822 (1995)
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[Publications] H.Ishida: "On the life-time of the parallel vibrational motion of adsorbates on metallic surfaces" Surface Science. (発表予定). (1996)