1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07228227
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
小夫家 芳明 静岡大学, 工学部, 教授 (80026195)
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Keywords | イオンチャネル / シクロデキストリン / アゾ化合物 / カリックスアレーン / 光スイッチ |
Research Abstract |
強固な大環状骨格を有し、水中で種々のゲストに対して取り込み場とて働く、シクロデキストリンの一級水酸基側にイオン対形成、化学修飾を用いて疎水修飾を施すことにより,シクロデキストリンを開口部とする両親媒性大環状化合物を合成した。これらは脂質2分子膜に導入すると,いずれもシングルイオンチャネル電流を与え、その空孔内をイオンが透過する分子状チャネルと考えられ、集合体数によって構造が変化する超分子イオンチャネルと異なり,いずれも1種類の電導度のみを与えた。従ってイオン対形成により集合数が制御されることが示された。両チャネル共にカチオン選択的で,疎水性を上げると、より高いカチオン/アニオン選択性を与える興味深い傾向が観測された。またカリックスアレーンの疎水修飾によっても分子状チャネルが得られることを見いだした。 一方オリゴエーテルカルボン酸を一方のイオン対成分とし、2本の疎水性基を有するアンモニウム基の片方にアゾ基を用いた両親媒性イオン対を新たに合成した。本イオン対を脂質2分子膜に導入してチャネル電流を観測した結果,トランス体は主として3‐15pSの範囲で超分子イオンチャネルに特有ないくつかの異なる電導度を有する安定なシングルイオンチャネル電流を与えた。また複数のチャネル分子が同時に開くマルチチャネル電流もしばしば観測された。しかしこの化合物を光照射してシス体に異性化した後は,安定なシングルチャネル電流は観測されなかった。以上により、脂質内で配向し易い構造のトランス体は超分子集合体からなるイオンチャネルを形成出来るが、隙間の多い構造のシス体は疎水性基による安定化効果を発揮できないため,膜中で安定な集合体が形成されないことを示し、イオン電流の光スイッチ機能の構築に成功した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Y.TANAKA: "Non‐Peptidic Ion Channel with K^+ Selectivity" Angew. Chem. Int. Ed. Engl.34. 693-694 (1995)
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[Publications] Y.KOBUKE: "Totally Synthetic Voltage Dependent Ion Channel" Chem. Lett.435-436 (1995)
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[Publications] 小夫家芳明: "脂質2分子膜中にイオン流束場を与える人工イオンチャネル" 有機合成化学協会誌. 53. 451-460 (1995)