1995 Fiscal Year Annual Research Report
絶対配置決定に使用できるキラルランタニドNMRシフト試薬に関する研究
Project/Area Number |
07230101
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
甲 國信 東北大学, 理学研究科, 教授 (40005799)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 陽一 北海道大学, 理学研究科, 教授 (30004500)
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Keywords | キラルシフト試薬 / 絶対配置 / NMR / 希土類錯体 |
Research Abstract |
1.先に我々が報告したアミノ酸やヒドロキシ酸の絶対配置決定に使用できるキラルシフト試薬光学活性プロピレンジアミン四酢酸イオンのEu(III)錯体Na[Eu^<III>(R or S-pdta)](EPDTA)よりもさらに高いシグナル分離能を持つシフト試薬の創製を目標に実験を行ない以下の結果を得た.錯体の効果的な不斉配位環境を形成をジアミン部の置換基を嵩だかくすることと環状のジアミンを用いることで達成しようとして、EPOTAのMeよりもかさだかい置換基benzyl,Phを持つジアミンとtrans-1,2-シクロヘキサンジアミンの四酢酸誘導体を配位子とする新規Eu(III)錯体(1,2,3;対カチオン=Na^+)を合成した.これらの錯体の水溶性キラルシフト試薬としての機能を代表的なアミノ酸とヒドロキシ酸について^1H NMRで調べたところつぎのような興味ある結果が得られた.a)シグナル分離能が最も高いと期待した3は1よりもかなり低い分離能を示す意外な結果となった.b)ジアミン部の置換基は配位してくる基質と直接に相互作用する位置にないが錯体のシグナル分離能に影響を与えた.しかし予想とは逆により嵩だかい置換基はシグナル分離能を低下させた.これらの予想外の結果の原因はN上の酢酸基がジアミン部の置換基から受ける立体反発にあるとの作業仮説を立て,今回の結果をより効果的な試薬の設計に生かすべく検討を始めている.なお1のシグナル分離能はおよそEPDTAと同程度である. 2.EPDTAは有機溶媒に不溶だが,錯体1,2,3の対カチオンをLi^+,Me_4N^+に変えると有機溶媒のMeOHに溶け易くなる.1のLi^+,Me_4N^+塩は重メタノール中プロピレンジアミンのエナンチオマーシグナルを分離し,この種の錯体の有機溶媒への展開に足がかりが得られた.なお,補助金で購入した電子天秤,冷凍庫,クロマトグラフデータ処理装置は本研究のなかで日常用いられている.
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 波左間令一: "A europium(III)-N_2N_3N′,N′-tetrakis(2-pyridyimethyl)-(R)-propylenediamine complex as a new chiral lanthanide NMR shift reagent for aqueous neutral selution" Journal of Chemical Society,Chemical Communications. 15-16 (1996)