1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07230202
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
宮本 量 弘前大学, 理学部, 助手 (20250590)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮永 崇史 弘前大学, 理学部, 助手 (70209922)
喜多 昭一 弘前大学, 理学部, 助教授 (80142834)
須藤 進 弘前大学, 理学部, 教授 (60003513)
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Keywords | 希土類錯体 / 電子常磁性共鳴法 / 配位子場 / f電子 / EPR |
Research Abstract |
希土類元素の最大の特徴であるf電子が化学結合にどの様に寄与するかという問題が、希土類錯体の化学における主要なテーマであると言える。そこで本研究では、このf電子を直接的・積極的に観測できる磁気共鳴的な分光手段である電子常磁性共鳴法(EPR)を用い、特に配位構造を規制・制御するために大環状配位子を持つ希土類錯体について、それらの配位構造とf電子の挙動との関連について検討した。また得られたスペクトルについて定性的なシミュレーションを行ない、ゼロ磁場分裂相互作用の大きさを見積もった。 今回調べた窒素配位した大環状配位子を持つGd (III)錯体においては、先に報告したβ-ジケトナト類を配位子に持つ錯体に比べてゼロ磁場分裂相互作用は小さいことがわかった。大環状配位子を持つ錯体に比べてβ-ジケトナト錯体の方がゼロ磁場分裂相互作用が大きかったのは、配位子が負の電荷を持つために、配位子が強い配位子場を与えるためと考えられる。また大環状配位子のうちでは、HAM錯体の方がクラウンエーテル錯体よりもゼロ磁場分裂相互作用は大きかった。この、硬い酸と考えられる希土類イオンに対して共有結合性のより大きいソフトな窒素原子の方が酸素原子より強い配位子場を与えることは、希土類錯体において希土類イオンと配位子との結合を考える上で大変興味深い結果である。
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Research Products
(1 results)