1995 Fiscal Year Annual Research Report
希土類-クラウンエーテル錯体の水和と液-液分配特性に関する研究
Project/Area Number |
07230208
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
井村 久則 茨城大学, 理学部, 教授 (60142923)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 弘三郎 茨城大学, 理学部, 教授 (60007763)
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Keywords | 希土類 / ランタニド / クラウンエーテル / 溶媒抽出 / カルボン酸 / 水和 |
Research Abstract |
軽希土に対する高選択的な抽出系である,トリクロロ酢酸(Htca)-18-クラウン-6(18C6)-1,2-ジクロロエタン系を取り上げて,まずLaとEuの抽出平衡解析より,それぞれの抽出錯体の組成が塩析剤(2.0M LiCl)の存在下においてもLn(tca)_3(18C6)となることを確認した。平衡に関する知見に基づいて,過剰の18C6を含まずにLa錯体のみを含む有機溶液を調製し,伝導率測定,カ-ルフィッシャー滴定を行った。その結果、塩析剤(2.0M LiCl)の共存に関係なく,抽出されたLa錯体に水1分子が含まれることが分かり,錯体の組成として,La(tca)_3(18C6)(H_2O)を決定した。La錯体溶液の伝導率測定からは,tcaイオンの解離はほとんど起こらないことが分かった。Eu錯体の水和については,初年度に引き続きレーザー蛍光分光法を用いて検討し,塩析剤として2.0M LiClを加えた場合もEu(tca)_3(18C6)(H_2O)及びEu(tca)_3(18C6)(H_2O)_2の混合物として存在することを明らかにした。錯体の構造に関する更なる知見を得るために,^1H NMR測定を行った。La錯体の場合には,18C6のCH_2プロトンの化学シフトは3.96ppmに現れ,フリーの18C6に比べると0.3ppmも低磁場側へ移動していることから,18C6とLaとの相互作用が強いことを示唆している。また,錯体のCH_2プロトンの共鳴はシャープなシングレットを与えることから,NMRの時間スケール内で18C6の6個の酸素原子は等価にLaイオンと結合していることが明らかとなった。一方,Eu錯体の場合には,3.66ppmにフリーの18C6,11.73及び1.61ppmにそれぞれ錯体中の18C6及び水のブロードなピークが観測された。またLaと同様に,NMR時間スケール内で18C6の6個の酸素原子は等価にEuと相互作用していることが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)