1995 Fiscal Year Annual Research Report
希土類錯体を用いる反応活性種の発生と有機合成への応用
Project/Area Number |
07230209
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
北條 信 筑波大学, 化学系, 講師 (50229150)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細見 彰 筑波大学, 化学系, 教授 (00004440)
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Keywords | カルボニルイリド / テトラヒドロフラン / ジヒドロフラン / ジオキソラン / 〔3+2〕環化付加 / 1,3-双極子 / サマリウム / 1,3-脱離 |
Research Abstract |
これまでのカルボニルイリドの生成法は生成を容易にするための官能基や置換基が必要であり,したがって生成したカルボニルイリドはこれらの基によって安定化されたものに限られていた.このことは合成化学への利用に対して大きな制限があるばかりでなく,イリドの反応性に電荷の分離した性質が強く反映している可能性もあり,真のカルボニルイリドの性質を見ていることにはならない.これに対して研究代表者はサマリウム試剤を用いる非安定化カルボニルイリドの新規生成反応を見つけた.アルデヒドとヨードシランから定量的に合成可能なヨードメチル(シリル)エーテルに2価サマリウムを作用させることにより対称オキシラン類が生成することを見つけた.本反応をカルボニル化合物存在下に行うとジオキソラン類が生成することを見つけた.本反応では4種の異性体の生成が考えられるが,生成するジオキソランは2種の異性体のみからなる.カルボニルイリドは0価サマリウムを用いても発生した.実際アルケン類およびアルキン類共存下にヨードメチル(シリル)エーテルと0価サマリウムの反応を行ったところ,高収率でそれぞれ対応するテトラヒドロフラン類およびジヒドロフラン類を得た.アルキル置換の非安定化カルボニルイリドは未知の活性種であり,本反応はこれらを生成するための唯一の方法であるため,イリドの生成および反応性について検討したところこれらは非常に高い反応性を示すことも明らかにした.(J.Am.Chem.Soc.1996,118,in press.)
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