1995 Fiscal Year Annual Research Report
希土類元素を含む高分子金属錯体を前駆体とする新規材料化プロセスの開発
Project/Area Number |
07230227
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
垣花 眞人 東京工業大学, 工業材料研究所, 助教授 (50233664)
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Keywords | 希土類元素 / 高分子金属錯体 / 錯体重合法 / 材料化プロセス / セラミックス |
Research Abstract |
平成7年度には、固体電解質、発光体、あるいは触媒としての応用が期待されているパイロクロア型Ln_2Ti_2O_7の錯体重合法による合成とプロセスの詳細な検討を行った。これらの、希土類含有複合酸化物の合成は、従来の固相法においては、高温を要し非常に困難である。たとえば、Y_2Ti_2O_7は、合成に1300-1500℃と高温を要し、単相化は非常に困難とされている。一方、炭酸イットリウムとTi-イソプロポキシドを原料とし、クエン酸/エチレングリコール中で重合エステル化して得た前駆体を熱処理する錯体重合法を用いることにより、容易に単相のY_2Ti_2O_7を、空気中750℃、2時間の熱処理で中間結晶生成物をへることなく直接得ることができた。とくに重要な成果は、重合過程において不均化の要因となるコロイドや沈殿を伴うことなく高分子ゲルを作製できたことである。さらに、Y_2Ti_2O_7の低温合成においては、Y-Ti異核複合クエン酸錯体の生成とその熱的安定性が本質的に重要であることが^<13>C-NMRを用いて確認された。(Y, Ti)-CA/EG溶液の^<13>C-NMRには、金属に配位していないフリーのクエン酸に対応するピークに加えて、クエン酸のアルコール性OH基のプロトンが解離し、一種のクエン酸アルコキシドの形で金属に強く配位した錯体種に固有の共鳴ピークが観測された。(Y, Ti)-CA/EG溶液においては、YとTiが強く相互作用し新しい複合錯体種が生成していると考えられた。また、この複合錯体は、加熱濃縮の間、かなり安定に存在し、高分子ゲル中で分解することなく分散していることが確認された。このように、高純度・均質Y_2Ti_2O_7の低温合成においてY-Ti複合クエン酸錯体の生成とその熱的安定性が本質的に重要であるとが明らかにされた。
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[Publications] M. Kakihana, M. Arima, H. Yashima, M. Yoshimura, Y. Nakamura, H. Mazaki, H. Yasuoka: "Polymerized Couyelex route to the synthesis of multi-component onides" Ceramic Transactions. 55. 65-76 (1995)
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[Publications] 垣花 眞人: "希土類元素を含む高分子金属錯体を前駆体とする新規材料化プロセスの開発" 希土類. 27. 111-126 (1995)
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[Publications] M. Kakihana, M. Milanova, M. Arima, T. Okubo, M. Yashima, M. Yoshimura: "Polymerized complex route to the synthesis of pure Y_2T_<12>O_7 at 750℃ uring Y; Timixed-metal citnic and complex" Journal of American Ceramic Society. (1996)