1995 Fiscal Year Annual Research Report
固相重合における分子認識の検討及びポリペプチドの分子設計
Project/Area Number |
07231202
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
金澤 等 福島大学, 教育学部, 助教授 (50143128)
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Keywords | 固相重合 / アミノ酸NCA / L-フェニルアラニンNCA / ラセミ体フェニルアラニンNCA / β-シート構造 / α-らせん |
Research Abstract |
本研究は結晶性モノマーをそのまま重合させること(固相重合)によって、溶液反応では得られないような構造の生成物をつくることを目的として行った。反応はアミノ酸N-カルボキシ無水物(NCA)の固相重合によるポリペプチドの生成を検討した。既に、グリシン、L-アラニン、L-ロイシン、L-バリンの各アミノ酸のアミノ酸N-カルボキシ無水物(NCA)の結晶をつくり、ヘキサンの中に沈めて、ブチルアミンを添加するこによる固相重合を行い、その反応をアセトニトリル溶液の場合と比較した結果。L-ロイシンNCAが、溶液よりも固相反応性が高いことがわかり、その反応性は結晶構造から解釈できた。(1)結晶内における、反応分子の層状構造の存在、と(2)生成ポリマーがα-らせんを形成することの二つが固相反応の決定因子であると考えた。しかし、ジオキサン、トルエン中の溶液重合と比較した。セラミ体およびL-体のフェニルアラニンNCAについて、得意な反応性を見出した。特に、L-フェニルアラニンNCAは結晶状態において、今までになく重合速度が大きいが、一方ジオキサンやトルエンの溶液中では極めて安定であった。L-フェニルアラニンNCAの重合で生成するポリマーはβ-シート構造であった。不安定なL-フェニルアラニンNCAの単結晶化を行い、構造解析を行った。その結果、反応は結晶内をa軸方向に進み、β-構造のポリマーが生成すると考えられた。この結果、結晶構造にβ-構造のポリマーに有利な配列のあることがわかった。L-フェニルアラニンNCAが溶ラセミ体フェニルアラニンNCAも結晶状態で反応しやすいが、溶液では不活性であることがわかった。その結晶構造解析から、D-体とL-体が交互に反応する可能性が高いと考えた。 なお、ラセミ体γ-ベンジルグルタメートNCA、およびβ-ベンジルアスパルテートNCAの結晶化は、まだ成功していない。
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[Publications] H.Kanazawa: "Polymerization of N-Carboxy Anhydrides of L-and DL-Valine, and L-and DL-Phenylalanine in the Solid State." Science Reports of the Faculty of Education, Fukushima Univ.No.55. 19-28 (1995)
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[Publications] H.Kanazawa,T.Onami: "Degradation of Azo Dyes by Sodium Hypochlorite 3.Estimation of the Rate Equation of the Degradation of Orange G and Benzopurprine." Bull.Chem.Soc.Jpn.68. 2483-2489 (1995)
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[Publications] H.Kanazawa: "Improvement of Surface Properties of Polypropylene by Photochemical Treatment" Journal of Photopolymer Science and Technology. (1995)
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[Publications] H.Kanazawa,H,Uekusa,Y.Ohashi: "DL-Phenylalanine NCA" Acta Crystallographica. C52. (1996)
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[Publications] H.Kanazawa,Y.Ohashi: "Polymerization of N-Carboxy Anhydrides of L-and DL-Valine, and L-and DL-Phenylalanine in the Solid State." Mol.Cryst.Liq.Cryst.241. (1995)
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[Publications] 金澤 等: "染色の分子メカニズム" 現代化学. No.294. 27-34 (1995)