1995 Fiscal Year Annual Research Report
高分解能光電子分光によるフェルミ面近傍の低次元電子状態の研究
Project/Area Number |
07232208
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤森 淳 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (10209108)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝川 貴司 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (90251397)
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Keywords | 有機導体 / 高分解能光電子分光 / X線吸収 / 朝永ラッティンジャー液体 |
Research Abstract |
金属性伝導、超伝導、金属一絶縁体転移等を示す代表的な有機分子性導体の電子状態を高分解能光電子分光及びX線内殻吸収分光により調べた。とくにフェルミ準位近傍の電子状態は低次元性に起因すると思われる異常があらわれることが予測され、実際に観測された。 1 有限の3次元性をもつ(DCNQI)_2Cuのフェルミ準位近傍の電子状態及びその温度変化を高分解能光電子分光により調べた。全体のスペクトルはエネルギーのへき乗に従う朝永ラッティンジャー液体的な形状を示したが弱い3次元性のためにフェルミ準位近傍では有限のフェルミ端が観測された。スペクトルの温度変化及びエネルギー変化からフェルミ液体と朝永ラッティンジャー液体の間のクロスオーバーの可能性が指摘された。 2 (DCNQI)_2Cuの電子状態の異方性を調べるために直線偏光放射光を用いた内殻吸収スペクトルの測定をおこなった。伝導体を形成するDCNQI分子のLuMOからなるバンドはC軸方向に強く偏光し分子間の軌道の重なりが重要であることが明らかにされた。Cu3dホールの対称性はxy以外にyz.zx成分もわずかに観測された。金属一絶縁体転移に際してCuの価数が変化することも確かめられた。 3 2次元(BEDT-TTF)_2Xのフェルミ準位近傍の電子状態を高分解能光電子分光により調べた。超伝導体[X=Cu(NCS)_2],反強磁性絶縁体[X=CuClN(CN)_2],金属[X=KHg(SCN)_4」ともにフェルミ準位上のスペクトル強度が異常に小さいことが見いだされた。しかしKHg(SCN)_4では明らかに強度の増大が見られ、モット転移近傍の電子状態の変化を反映しているものと思われる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] A. Sekiyama: "Fermi-liquid versus Luttinger-liquid behavien and nietal-insulator transition in N.N'-dicyanoquinorediimine-Cu salt strdied by phitceuussion" Physical Review B. 51. 13899-13902 (1995)
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[Publications] 藤森淳: "光電子分光で見た朝永ラッティンジャー液体と異常金属相" 固体物理. 30. 763-768 (1995)
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[Publications] A. Sekiyama: "High-resolution photcemission and X-ray abrerption study of quasi-one-dimensional DCNQI-CuSaCT" Journal of Electron Spectroscopy and Related phenomera. (発表予定).