1995 Fiscal Year Annual Research Report
磁場破壊と量子干渉に基づく新しい磁気振動とそれに伴う相転移
Project/Area Number |
07232225
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
中野 正浩 大阪工業大学, 工学部, 助教授 (00257883)
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Keywords | 磁場破壊 / 低次元導体 / 分子性導体 / 磁気振動 / 量子干渉 / トンネル効果 / dHvA効果 / SdH効果 |
Research Abstract |
分子性導体を模したフェルミ面を持つ強結合モデルを用い,数値計算により熱力学量における新しい磁気振動の温度・磁場依存性を詳しく解析した(論文にて発表).また,解析的に扱えるモデルを構成し,そのモデルを用いて低磁場極限と高磁場極限からの摂動による計算を実行中である.高磁場極限からの低次の摂動論の範囲でも輸送係数と熱力学量の違いは出せるが,目的の"新しい磁気振動は"今のところ得られていない(論文準備中). 純2次元電子系では,電子数を一定に保つためのフェルミエネルギー振動が他の物理量の磁気振動波形に大きな影響を及ぼし,新しい磁気振動周波数成分を産み出すことを見出した(口頭で発表,論文準備中),弱い3次元性や有限温度がどの程度フェルミエネルギー振動の効果を抑制するかを解析的および数値的に計算中である. 上記の摂動論による計算はフェルミエネルギー一定の計算であるので,電子数一定の場合についてやり直す必要があるが,未着種である;その計算は実行するに値するかどうか思案中である. 元の計画からは少し外れるが,Pippardのネットワークモデル(PNM)を改良して,電子状態密度を再計算している;今後,磁化等の物理量を計算する予定である[改良型PNMとは従来のPNMでは正しく再現されない磁場中電子の状態密度の磁場依存性(いわゆるファンチャート)を再現する様に手を加えたNMである.以前に私自身がPNMでは新しい磁気振動は生じないとことを示したのだが,量子トンネルとコヒーレンスを最低限取り入れているので,改良型では新しい振動がやはり出るのではないか期待される.] 今の問題を量子ボルツマン方程式(QBE)にのせる努力を行っているが,QBEに依る解析は残念ながら未着手である:これは是非とも実行する必要がある事なので,来年度以降の課題である.
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