1995 Fiscal Year Annual Research Report
高周期14族元素のハロ錯体の動的挙動とイオン伝導性
Project/Area Number |
07239237
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
奥田 勉 広島大学, 理学部, 教授 (20033847)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 康治 広島大学, 理学部, 助教授 (10166704)
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Keywords | イオン伝導体 / 逐次相転移 / ペロブスカイト型構造 / 超原子価化合物 / Sn NMR / リ-トベルト解析 / 14族元素ハロ錯体 / イオン導電機構 |
Research Abstract |
高周期14族元素のうちSnやGeの元素について,カチオンを系統的に変えてハロ錯体を合成し,それらについてDTA,磁気共鳴(NQR, NMR)法,X線解析法などの物性測定手段を用いて,錯アニオンやカチオンの静的構造と動的構造を明らかにし,イオン伝導機構を明らかにすることを目的としている。カチオンとしてはアルカリ金属とアルキルアンモニウムを用いた。その結果,Ge(II)の臭化物のうち,CH_3NH_3塩や(CH_3)_4N塩では逐次相転移し,高温で立方晶ペロブスカイト型構造に転移した。(CH_3)N_4N塩では導電率は立方晶に転移する直前で急激に増加した。粉末X線回折のリ-トベルト解析より,高温ではBrサイトにディスオーダーが存在することを見出した。これらの化合物では,立方晶における導電率は格子定数に大きく依存し,ある大きさの格子定数の付近に極大を示した。このことは,導電率がディスオーダーサイトにあるBr原子間の距離に依存することを示しており,更に高い導電率をもつ錯体の合成が可能であることを示唆している。 Sn(II)化合物では新たにCsSnCl_8, CH_8NH_3SnCl_8, C_2H_5NH_8SnBr_8で立方晶ペロブスカイト相の存在を確認した。特に,CH_3NH_3SnCl_3では立方晶に転移する直前の菱面体晶系で既に10^<-3>Scm^<-1>(410K)という高い伝導率を示した。^1H, ^2H, ^<119>SnNMR等の実験から塩化物イオンが電荷担体であると考えられるが、粉末X線回折ではC1サイトのディスオーダーは観測されておらず,更に詳細に検討する必要がある。
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