1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07241242
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
柴山 充弘 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助教授 (00175390)
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Keywords | ゲル / 階層構造 / N-イソプロピルアクリルアミド / イオン錯体 / 小角中性子散乱 / ミクロ相分離 / DSC / ポリビニルアルコール |
Research Abstract |
(1)熱敏感型弱荷電高分子ゲルの微細構造解析・熱解析 ポリN-イソプロピルアクリルアミド(NIPN)/アクリル酸(AAc)共重合体ゲルにおいて、ミクロ相分離構造も存在することを小角中性子散乱(SANS)により明らかにした(発表論文2)。さらに、このミクロ相分離構造形成とゲル架橋点の存在有無との関係を議論するため、弱荷電高分子ゲルと対応する高分子溶液のSANS測定を行ったところ、ゲルではゆらぎの増大が架橋によって強く抑制されているのに対し、溶液ではミクロ相分離(ピーク)とマクロ相分離(小角での強度の発散)が同時に起こっていることを確認した。つぎに、示差熱量分析DSCによりNIPA/AAc共重合体ゲルの熱的性質を定量的に解析した。その結果、DSCで観測される脱疎水水和に関連した吸熱ピークは、巨視的に見られる膨潤相から収縮相への転移に対応するのではなく、上述のミクロ相分離温度に対応することが認められた(発表論文5)。この知見は、ゲルの多重相の生成由来、性質を理解する上で重要な発見と考えられる。 (3)および高分子-イオン錯体系ゲルの動力学的性質・分子間相互作用 高分子-イオン錯体としてポリビニルアルコール(PVA)とほう酸イオン(発表論文3)およびコンゴ-レッド(CR)(発表論文1,4)についての研究を行った。これら研究の目的は、微視的次元で働く分子間相互作用の定量をゲルという巨視的物体を用いて行うための方法論の確立である。ほう酸イオンに両者の間(分子の広がり、膨潤度それぞれのほう酸イオン濃度依存性)に良好な類似性が見られた。これよりゲルの膨潤(多体系)を独立高分子の広がり(一体系)で記述するためには、デバイの静電遮蔽距離が高分子のブロックサイズより小さいという条件が必要であることを示唆しており、電荷系高分子ゲルの超構造制御を考える上で、重要な知見が得られた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] M.Shibayama: "Microscopic Structure and Viscosity Behaviors of Ion-complexed Polymer Gels." Macromol. Symp.93. 277-281 (1995)
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[Publications] M.Shibayama: "Small-angle Neutron Scattering Study on Weakly Charged Poly (N-isopropyl acrylamide-co-acrylic acid) Copolymer Solutions." J. Chem. Phys.102. 9392-9400 (1995)
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[Publications] M.Shibayama: "Analogy between Swelling and Viscosity Behavior of Ion-Complexed Poly (vinyl alcohol) in Aqueous Meida." Macromolecules. 29(1月28日号). (1996)
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[Publications] F.Ikkai: "Complexation of Poly (vinyl alcoho;) Congo Red Aqueous Solutions. III. Dynamic Light Scattering Studies on Sol-Gel Transition." J. Polym. Sci, Polym. Phys. Ed.34(未定). (1996)
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[Publications] M.Shibayama: "Thermal Properties of Copolymer Gels Containing N-isopropylacrylamide." Macromolecules. 29(2月26日号). (1996)