1995 Fiscal Year Annual Research Report
テルル-モリブデン系の二元酸化物における活性種の特異な構造と触媒設計への応用
Project/Area Number |
07242255
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
林 弘 徳島大学, 工学部, 教授 (00035627)
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Keywords | テルル / モリブデン / 二元酸化物 / 活性種 / 触媒設計 |
Research Abstract |
TeO_2-MoO_3系の二元酸化物は活性種α-Te_2MoO_7を生成し、固定床では極限値に近い通気条件でもかなりの変化率を示す高性能触媒である。本研究は、この活性種の構造とガラス相の短距離秩序についてXRDならびにEXAFS解析を行なうことを提案し、申請計画のとおり、以下の各項目について所期の成果を得た。 1 Te_2MoO_7の構造と相転移の研究 活性組成の二元系MoO_3・2TeO_2の磨砕混合物を500℃で焼成して結晶性α-Te_2MoO_7を生成させた。α相の白色粉末を600℃で熔融急冷すると黄橙色透明の美しいガラスを得る。このβ相を450℃で再焼成し、α相の再生状況をXRDで調べた。β相は無定形のためブロードなXRDパターンを与えるのみである。そこで、局所構造を明らかにするため、EXAFS解析を行なった。短距離秩序は保持しながら、結晶対称の剛直構造からガラスの柔構造に変わることで歪みが緩和されている。 2 Te_2MoO_7のα相、β相および再生α相の表面組成と酸化活性の比較研究 α相は結晶性、β相はガラスであり、再生α相とはじめのα相のXRDパターンに差異は認められない。フレッシュα相は活性の再現性が極めて良好で、選択的にピルビル酸エチルを与えるが、β相は著しく活性が低く、さらに、再生α相の活性は復元しなかった。触媒の調製化学の点で重要な課題である。深さ方向のESCA分析により表面組成を調べたところ、β相および再生α相では、バルク組成MoO_3・2TeO_2よりTe/Mo原子比が高くなっていることがわかった。そこで、再生α相を乳鉢で磨砕して内部の結晶相を表面に露出させたのち圧縮成型すると、α相のはじめの活性を完全に回復できた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Hiromu HAYASHI: "α-Te_2MoO_7 as an Active Species in the Vapor-Phase Selective Oxidation of Ethyl Lactate to Pyruvate over TeO_2-MoO_3 Catalysts." Ind. & Eng. Chem. Research. 34. 135-139 (1995)
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[Publications] 林弘: "テルロモリブデン酸の化学 -その構造と触媒機能-" 表面. 33. 763-772 (1995)