1995 Fiscal Year Annual Research Report
バーチャル・リアリティ(VR)を使った人間の認知-運動機構の研究
Project/Area Number |
07244107
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
田中 博 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (60155158)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥山 文雄 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (70134690)
仲村 洋之 埼玉工業大学, 工学部, 講師 (50189057)
青木 隆夫 日本大学, 工学部, 講師 (00101113)
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Keywords | バーチャル・リアリティ / 視覚の計算理論 / 眼科 協調運動 / 視線運動 / 逆問題 |
Research Abstract |
本研究では、Poggioの[視覚は逆問題である]という仮説の下に、視覚が限定された情報から大局的な情報を推測するシステムだと仮定し、既存のVR装置とアイマークリコーダとを用いて、視覚の認知機構を解明する方法を開発するとともに、視覚による認知と運動機構との関係を解明する手法を開発することが究極の目的であり、本年度は視覚の三次元認識の機構を計測するシステムを開発した。 本システムによって、以下のような実験をおこなった。奥行き知覚の過程を明らかにするために、立方体、楔形、四角錐(底辺はそれぞれ60mm)の対象を用意し、対象の一つをランダム順に被験者に示し(500mm前方)、速やかにいずれの形か判断させる試行を行ない、判断までの経過時間、および、それまでの眼球運動を計測した。眼球運動はナック社製のEMR600型を中心に使用し、600Hzで両眼の眼球運動を測定を行ない、データ収集後両眼の輻輳角より、空間内の注視点座標を算出した。 結果として、各対象に対する注視点の軌跡については、いずれの対象の場合にも視野全体を均質に注視しているのではなく、以下のごとく、いくつかの部分を集中して注視していることが判明した。(1)立方体の場合:注視点の集中した部分は、左上端、右上端、右下端で、その他の部分への注視点の移動はほとんど見られなかった。(2)楔型の場合:注視点の集中した部分は、右下端と左上端であった。(3)四角錐の場合:注視点の集中した部分は、主に先端の部分であるが、その他、右上端と右下端に注視点が移動する場合もあった。 以上のごとく、人間が立体を認識する場合、対象全体をスキャンするのではなく、特徴的な部分に集中して注視して行く事が判明した。
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Research Products
(1 results)