1995 Fiscal Year Annual Research Report
フラーレンとフラーレン電荷移動型化合物の光学非線形性に関する研究
Project/Area Number |
07246224
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中村 新男 名古屋大学, 理工科学総合研究センター, 教授 (50159068)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 修治 工業技術院, 電子技術総合研究所, 主任研究員
時崎 高志 名古屋大学, 理工科学総合研究センター, 講師 (20207541)
市田 正夫 名古屋大学, 理工科学総合研究センター, 助手 (30260590)
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Keywords | C_<60> / 電荷移動錯体 / 第2高調波発生 / 第3高調波発生 / フェムト秒分光 / 電荷移動励起子 |
Research Abstract |
60個や70個の炭素原子から成るフラーレンがつくる結晶は、ナノスケールの量子ドットと共役系の両者の特徴を備えているので、大きな非線形性が期待される。本年度は、C_<60>の単結晶、薄膜、溶液およびC_<60>の電荷移動錯体を作製して、その光学スペクトルと非線形感受率の評価を行った。 1.[フラーレン、フラーレン電荷移動型化合物試料の作製とその評価] C_<60>を対象にして、蒸着法によって薄膜結晶、昇華法によって質の良い単結晶試料を作製し、その構造を評価した。また、C_<60>はジエチルアニリン(DEA)と電荷移動錯体を形成することが予測されるので、C_<60>/DEAトルエン混合溶液を作製し、その吸収と発光スペクトルを測定した。DEA濃度をあげることによって、新しい吸収帯が観測され、反転対称性をもたないC_<60>電荷移動錯体の形成が示唆された。 2.[フェムト秒分光による非線形緩和ダイナミクスの測定] C_<60>の非線形性の起源と時間応答を調べるために、過渡吸収分光を行った。薄膜では、固体特有の電荷移動励起子の緩和時間が1psであり、自己捕獲状態をつくることによって速い緩和過程になることが分かった。溶液中のC_<60>分子の場合、三重項状態への項間交差によって1nsの緩和時間になる。縮退四光波混合で測定された3次の非線形感受率は、電荷移動励起子エネルギーで共鳴増大を示し、分子間にまたがった励起状態が大きな非線形性を与えることが明らかになった。 3.[フラーレンベース有機非線形光学材料の理論設計] C_<60>で観測されている第3高調波発生の波長依存性を説明するために、各準位における3光子2重共鳴を考慮して第3高調波の非線形感受率の理論計算を行った。各準位に共鳴した増大効果を再現することができた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] A.Nakamura: "Ultrafast relaxation of excitons and photopolymerization in C60 and C70" J.Luminescence.
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[Publications] A.Nakamura: "Ultrafast relaxation dynamics of photoexcitations in fullerenes" Progress in Crystal Growth & Characterization of Materials.
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[Publications] M.Ichida: "Luminescence properties and relaxation dynamics of photoexcited states in C_<60> solids" Progress in Crystal Growth & Characterization of Materials.