1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07250205
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
竹中 章郎 東京工業大学, 生命理工学部, 助教授 (80016146)
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Keywords | X線解析 / tRNAアミノアシル合成酵素 / 静電ポテンシアル / タンパク質合成 / tRNA |
Research Abstract |
RNAとタンパク質との相互の認識/情報伝達のメカニズムを明らかにするために,tRNAのアミノアシル化反応についてX線解析に基づく構造化学的研究を行う必要がある.本研究ではクラスIIに属するアスパラギン酸とヒスチジンの2つの系について,(1)ATP結合におけるMgイオンの必然性,(2)アミノ酸の認識,(3)ATPのアミノアシル化,(4)tRNAの3′水酸基へのアミノアシル基の転移,における静電ポテンシャルと相互作用エネルギー,反応に伴うエネルギー変化を調べた. tRNAアミノアシル合成酵素(RS)の静電ポテンシャルは,Mgイオンの結合を誘発し,結合するとATPのβリン酸基とγリン酸基が結合できるようになることを示している.アミノ酸の結合によってαカルボキシル基の一方のカルボニル酸素がαリン酸基の正のポテンシャルをもつリン原子に向くようになる.この結果は,三方両錐形の中間体を経て反転する反応スキームを支持している.相互作用エネルギーはMgイオンが結合して初めてATPがRSに結合すること,アミノ酸の結合にもMgイオンが関与していることを示した.アミノ酸の結合は律速段階となり,部分的なエネルギーの不利益を伴うが,aaAMPを形成することによって大幅に安定化し,さらにMg:PPiを放出することによって系は安定化する.RS:aaAMPの複合体にtRNAが結合すると,CCA末端のアデノシン残基の3′水酸基の酸素原子は負のポテンシャルとaaAMPのαカルボキシル基の炭素原子のもつ正のポテンシャルが近づく.両者のこのようなポテンシャルの組み合わせが,アミノ酸の3′水酸基への転移を誘発することが明らかになった.
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[Publications] M. Tsunoda, A. Takenaka, et al.: "Electrostatic Potential in Aminoacylation by Aspartyl-tRNA Synthetase" Nucleic Acids Symposium Series. 34. 65-66 (1995)
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[Publications] 竹中章郎・松本治: "核酸分子の相互作用における構造モチーフ" 蛋白質核酸酵素. 40. 1527-1539 (1995)
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[Publications] Akio Takenaka et al.: "Seructurcel Composition of Hanmerhead Ribozymes" J. Biochem.117. 850-855 (1995)