1995 Fiscal Year Annual Research Report
HMGドメインタンパク質SOX-2による転写活性化機構の解析
Project/Area Number |
07258215
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
蒲池 雄介 大阪大学, 細胞生体工学センター, 助手 (90263334)
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Keywords | クリスタリン / 水晶体 / 転写制御 / Sox遺伝子 / HMGタンパク質 |
Research Abstract |
ニワトリδ-クリスタリン遺伝子のエンハンサーは、水晶体特異的に活性化されるが、この活性化にはHMGタンパク質SOX-2の作用が必要である。水晶体核抽出液中には、SOX-2と同じ結合特異性を持つタンパク質因子が存在することから、水晶体ではSox-2の他にも複数のSox遺伝子が発現されていると考えられた。Sox-2をプローブにしてハイブリダイゼーションにより水晶体cDNAライブラリーをスクリーニングしたところ、新たにSox-1およびSox-3が単離された。Sox-1,-2,-3のニワトリ胚発生過程における発現をin situハイブリダイゼーションにより解析したところ、水晶体形成過程においては、Sox-1,-2,-3ともに、水晶体プラコードにおいて発現が観察された。この発現は、水晶体が形成されたあとも続き、水晶体上皮および繊維の両方で発現がみられた。水晶体以外では、中枢神経系、感覚器などで高い発現が見られた。SOX-2について、様々な部位に欠失を導入した変異タンパク質の転写活性化能を調べたところ、HMGドメインよりC末側の領域が転写活性化には必須であることが分かった。SOX-2が、δ-クリスタリンエンハンサーに作用する際には、その結合部位の3′側に結合する因子(δEF3)の作用を必要とし、単独では転写活性化できない。したがって、この転写活性化ドメインは、酸性アミノ酸ドメインの様な典型的な活性化ドメインとは性質が異なると考えられた。SOX-2は、もともとδ-クリスタリンのエンハンサーの最小エレメント(30塩基対)に結合する因子として同定されたものだが、エンハンサー全体(〜1キロ塩基対)には多数のSOX結合部位が存在することが分かった。
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