1995 Fiscal Year Annual Research Report
糖鎖結合性抗生物質の糖鎖構造認識機構の解析とその応用
Project/Area Number |
07259216
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
水落 次男 東海大学, 工学部, 教授 (90133149)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 宗宏 東海大学, 工学部, 講師 (00266371)
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Keywords | 人工糖脂質 / 糖鎖プローブ / レクチン / 抗真菌剤 / 抗生物質 / 糖鎖識別 |
Research Abstract |
本研究では、我々が最近開発に成功した糖蛋白質鎖の糖脂質化技術を駆使して様々な糖蛋白質糖鎖を導入した人工糖脂質を作製し、これを糖鎖プローブライブラリーとして用いて抗真菌剤であるPradimicin Aおよびその誘導体の糖鎖構造認識機構を明らかにし、その作用機構を解明すること、また、この物質がもつ糖鎖認識機構を利用して細菌やウイルスの宿主への接着過程等における細胞表面糖鎖の生理機能を解析するとともに、糖鎖に着目した細菌感染ウイルス感染の防御・治療法を確立することを目指して研究を実施した。まず、種々の糖蛋白質より糖鎖を調製した後、我々が開発した人工糖脂質作製技術を駆使して人工糖脂質化やABEE化を行い、糖鎖プローブのライブラリーを大量に作製した。この糖鎖プローブ(人工糖脂質)をTLCで展開分離した後、糖鎖結合性抗生物質やレクチンによる結合実験や結合阻害実験をTLCプレート上で直接行うとともに、プレート上の人工糖脂質をPVDF膜に種々の溶媒を用いて転写させてからPVDF膜上で同様の実験を行い、両解析法の検討を行った。その結果か、TLCプレート上でのアッセイよりもPVDF膜へ転写後のアッセイの方が検出感度がよく操作性も良いこと、転写溶媒としては従来のイソプロパノール/CaCl_2/MeOHよりもCHCl_3/H_2Oの方が転写効率が優れていることなど示された。また、種々の人工糖脂質を96穴のマイクロタイタ-プレートに固定化して、糖鎖結合性物質の糖鎖との反応性を定量的に解析する手法を確立することができた。これらの手法を駆使してPradimicin A誘導体が識別する糖鎖の分子内部位を解析した結果、糖鎖中の数カ所の水酸基がこの物質による糖鎖認識に関与している可能性が示唆された。また、まだ予備的ではあるが新規の糖鎖結合性抗生物質の迅速簡便なスクリーニング法の開発にも人工糖脂質を糖鎖プロープとして用いて成功した。
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[Publications] Sugimoto, M.: "Oligomannose-coated liposomes as an adjuvant for the Induction of cell-medtated immunity" FEBS Lett.363. 53-56 (1995)
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[Publications] Matsushita, M.: "A novel human serum lectin with collagen-and fibrinogen-like domain which functions as an opsonin" J. Biol. Chem.271. 2448-2454 (1996)
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[Publications] 水落次男: "HIV表面糖鎖結合新型エイズ治療薬の開発" 日本臨床. 53. 2340-2349 (1995)
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[Publications] 中田宗宏: "免疫グロブリンの糖鎖構造" 臨床検査. 39. 636-642 (1995)
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[Publications] 中田宗宏: "リウマトイド因子と糖鎖構造" 診断と治療. 83. 1173-1177 (1995)
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[Publications] 中田宗宏: "Medical TopicsSeries リウマチ'95" RA診断におけるリウマチ因子糖鎖測定の意義, 96-102 (1995)
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[Publications] 志方幸道: "リウマチ病セミナーVI(永井書店)" 慢性関節リウマチにおける糖鎖異常, 184-193 (1995)