1995 Fiscal Year Annual Research Report
アデノウイルスベクターを用いた高効率標的組換え法の開発
Project/Area Number |
07260207
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三谷 幸之介 東京大学, 医学部(医), 寄付講座教員 (10270901)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田代 文 東北大学, 加齢医学研究所, 助手 (40136213)
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Keywords | 標的組み換え / アデノウイルスベクター / ES細胞 / Hprt遺伝子 |
Research Abstract |
マウスHprt遺伝子座のエクソン2と3をカバーする染色体領域6.6キロ塩基対、5.9キロ塩基対、4.6キロ塩基対を含むDNA断片を、E1,E3欠損型アデノウイルスベクターを作成するためのトランスファープラスミドにサブクローニングした。いずれのコンストラクトもネオマイシン耐性遺伝子がエクソン3に挿入されており、標的組み換えによりHprt遺伝子が破壊された細胞を、ネオマイシン耐性と6-チオグアニン耐性により、選別できる。これらのプラスミドより、6.6キロ塩基対のDNAからは、すでにウイルスを作成した。 しかし、Hprt欠損細胞の6-チオグアニンによる選択は、あまり効きがよくなく、突然変異によりHprt欠損になる細胞が出現する頻度も比較的高い、などの問題点があることが判明した。そこで、ネオマイシン耐性遺伝子の挿入がない正常な6.7塩基対のHprt染色体DNAが挿入されたアデノウイルスベクターも作成した。また、染色体Hprt遺伝子エクソン3内にネオマイシン耐性遺伝子の挿入があるHprt欠損ES細胞を入手した。この細胞に正常のHprt配列を持つウイルスを感染させHprt欠損が修復された細胞をHAT培地により選択し、標的相同組み換えによって遺伝子上の変異を正常に修復する効率を検討した。その結果、アデノウイルスベクターを用いた方が電気穿孔法よりも40倍以上相同組み換えを起こす効率が明らかとなった。 さらに、よりよい相同組換えの効率を得るためのアデノウイルス感染条件の検討を行った。細胞あたりのウイルス粒子の数が25と250では効率はほぼ等しかった。細胞は培地に懸濁された状態よりもディッシュに付着した状態がよく、感染に用いる緩衝液はリン酸バッファーよりも培養用培地の方が効率が高かった。
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