1995 Fiscal Year Annual Research Report
上皮組織の形成維持における細胞接着装置構成因子の役割
Project/Area Number |
07262206
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
永渕 昭良 京都大学, 医学研究科, 講師 (80218023)
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Keywords | 上皮組織 / 細胞間接着装置 / カドヘリン / αカテニン / βカテニン / リン酸化 / v-src / 細胞骨格 |
Research Abstract |
本研究では上皮組織の形成・維持機構を、細胞間接着装置の形成機構から明らかにしようとしている。本年度は、前年度までに確立してきたカドヘリンとαカテニンの融合タンパク質をカドヘリン活性を持たない細胞に発現させる系を用い、αカテニンとヴインキュリン、ZO-1との相互作用について解析を進めた。αカテニンのN端末半分、C末端半分を変異型カドヘリンにつなげた融合タンパク質を発現している細胞における2種類の細胞質因子の局在を調べたところ、N末端半分を持つ融合分子とはヴインキュリンが、C末端半分を持つ融合分子とはZO-1が良い局在の一致を示すことが明らかになった。一方で、従来言われてきたv-srcによるβカテニンのリン酸化がカドヘリン・カテニン複合体の機能に及ぼす影響についても解析を行った。このために正常なカドヘリンを発現している細胞、変異型カドヘリンとαカテニンの融合タンパク質を発現している細胞それぞれにv-srcを発現させた。これらの細胞はv-srcの発現がない場合どちらも強い細胞接着能を示したが、v-srcの発現によりどちらの細胞においても細胞の接着性は低下し、細胞はカドヘリン特有の強い接着能を失った。カドヘリン・αカテニン融合タンパク質を発現している細胞にはβカテニンの発現が見られず、当然融合タンパク質にはβカテニンが結合していない。このことからv-srcによるβカテニンのリン酸化はカドヘリン・カテニン複合体の機能の低下に必要でないことが明かとなった。v-srcを活性化したときにリン酸化が進む細胞骨格関連因子を検索したところ、βカテニンの他、ZO-1、ERM分子群が見つかった。今後どのような因子がカドヘリン・カテニン複合体の機能制御を行っているか解析が必要である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yonemura,S.et.al.: "Cell-to-cell adherens junction formation and actin filament organization:Similarities and difference between non-polarized fibroblasts and polarized epithelial cells." J.Cell Sci.108. 127-142 (1995)
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[Publications] Takeda,H.et.al.: "V-src kinase shifts the cadherin-based cell adhesion from the strong to the weak state and beta-catenin is not required for the shift." J.Cell Biol.131. 1839-1847 (1995)