1995 Fiscal Year Annual Research Report
廃プラスチックの液相酸化法による化学原料への再資源化
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07263205
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
奥脇 明嗣 東北大学, 工学部, 教授 (70005320)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 敏明 東京大学, 工学部, 助手 (30241532)
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Keywords | ケミカルリサイクリング / 廃プラスチック / 農業用塩ビフィルム / 液相酸化法 / 高温水溶液 / フタル酸 / チャー化 |
Research Abstract |
PVCは燃焼により塩化水素を発生し、焼却炉を腐食し、ダイオキシン等の微量な有害物質を副生するため、エネルギー回収率を高めることが困難である。本研究では、農業用ポリ塩化ビニル(農ビ)フィルムをの化学原料への再資源化を目的とし、高温アルカリ水溶液中における分解挙動を検討した。 その結果、150〜250℃、1〜7M NaOHにおいて農ビフィルムを処理することにより、フタル酸、イソオクタノールとチャー化した残留物が得られた。フタル酸のイソオクタノールは、フイルム中32.4%含まれる可塑剤のジオクチルテレフタレート(DOP)加水分解によって生成し、フタル酸収率は、DOPに対して定量的であり、再資源化が可能であったが、イソオクタノールは一部が揮発生成物に分解されるか、チャー化した残留物に取り込まれるため収率は45%であった。 また、フィルム中のPVCの脱塩化水素率は3、5及び12時間で各々67、83及び95%であり、脱塩化水素は1次反応で進行した。この時150〜250℃において求めた見掛けの活性化エネルギーは29kcal/molであった。チャー化した残留物は、PVCの脱塩化水素により生成したものであり、1-5μmの細孔が見られ、時間とともに細孔径は小さくなった。この細孔は、塩ビフィルムマトリックスからDOPが加水分解したために生成したと考えられ、時間とともに孔径が小さくなったのは、PVCの脱塩化水素によって炭素-炭素間の架橋が発達したためと考えられる。
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[Publications] S.Shim,S.Watanabe,T.Yoshioka and A.Okuwaki,: "Chemical Behavior of Agricultural Polyvinylchloride(PVC)Film in Aqueous Solutions at Elevated Temperatures" Proc.The Third Int.Symp.on East Asian Resources Recycling Technology. 109-127 (1995)
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[Publications] 吉岡敏明、古川慶一、佐藤次雄、奥脇昭嗣、: "塩化ビニリデン-塩化ビニル共重合体の液相酸化法によるケミカルリサイクリング" エネルギー・資源. 16. 165-169 (1995)