1995 Fiscal Year Annual Research Report
殺虫性蛋白質遺伝子を応用した環境インパクトの小さい害虫防除システムの開発
Project/Area Number |
07263232
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
酒井 裕 京都大学, 農学部, 助教授 (60089117)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
駒野 徹 京都大学, 農学部, 教授 (30026413)
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Keywords | 殺虫性蛋白質 / Bacillus thuringiensis / 害虫防除 / 環境保全 / 生物農薬 / 双翅昆虫 / ラン藻 / 組換え遺伝子 |
Research Abstract |
殺虫性蛋白質遺伝子crylVAの転写調節を枯草菌胞子形成変異株を用いて調べ、crylVA遺伝子がspoIIID及びσ^Hに依存した調節を受けるなど他の殺虫性蛋白質遺伝子と比較してより複雑な発現制御下にあることを明らかにした。Bti細胞内で作動すると思われるこれらの調節因子をコードする遺伝子をクローニングして塩基配列を明らかにし、その存在を確認した。 Btの殺虫性蛋白質はまず前駆体蛋白質(プロトキシン)として合成され、蛋白質集合体(クリスタル)としてBt細胞内に蓄積する。これは標的昆虫に摂食されると、中腸内で可溶化され、消化液中の蛋白質分解酵素によるプロセシングを受け、活性型に変換される。精製したCrylVA蛋白質(130kDaプロトキシン)をアカイエカの幼虫(ボウフラ)の中腸抽出液で処理し、プロセシングの過程をin vitroで追跡した。130kDaプロトキシンはまず60kDa中間体に変換され、これがさらに切断されて20kDaと45kDaが生じる。20kDa及び45kDa断片は会合体を形成しており、これが最終的な活性型分子として殺虫活性を発揮すると考えられる。一方、CrylVB蛋白質は、CrylVAと比べると、中腸抽出液処理をすると分解がより速く進行し、殺虫活性は直ちに失われた。プロセッシングの過程で殺虫活性を示す断片を同定することはできなかった。このことはCrylVAとCrylVBとでは活性化の過程におけるプロセッシングの役割が全く異なることを示している。 殺虫性蛋白質CrylVAを発現するラン藻を作成するため、プラスミドベクターpFC1(グラム陰性菌の広宿主域プラスミドRSF1010由来)を用いてCrylVA遺伝子をラン藻Synechocystis PCC6803及びSynechococcus PCC7942に導入することを試みたが、これまでのところ安定なトランスフォーマントを得るに至っていない。現在、別のプラスミドベクターpUC303(Synechococcus PCC7942固有のプラスミドpUH24由来のシャトルベクター)を用いてCrylVA遺伝子をPCC7942 R2-Spc(プラスミドpUH24除去株)へ導入することを試みている。
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[Publications] H.Yoshisue et al.: "Cloning and characterization of a Bacillus thuringiensis homolog of the spoIIID gene from Bacillus subtilis" Gene. 154. 23-29 (1995)
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[Publications] H.Yoshisue et al.: "Expression of the genes for insecticidal crystal proteins in Bacillus thuringiensis:cryIVA,not cryIVB,is transcibed by RNA polymerase containing σ^H and that containing σ^E" FEMS Microbiol.Lett.127. 65-72 (1995)
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[Publications] H.Yoshisue et al.: "Bacillus thuringiensis Biotechnology and Environmental Benefits Vol.I" Hua Shiang Yuan Publising Co.,Taipei(T.Y.Feng et al.,Eds), 31-49 (1995)