1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07263243
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
安田 峯生 広島大学, 医学部, 教授 (50079688)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 敬介 広島大学, 医学部, 講師 (40166666)
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Keywords | ダイオキシン / PCB / レチノイン酸 / 発生毒性 / 催奇形性 / 口蓋ヒダ / 掌蹠パッド / 皮膚紋理 |
Research Abstract |
妊娠末期マウス胎仔口蓋の口腔側粘膜には,8〜9対の縦走するヒダがあり,種々の形態変異ないし異常がみられる。また,掌蹠には種々のパッドが皮膚紋理を形成しており,そのパターンは発生毒性因子の適用により変化することがある。本研究は減胎盤的にダイオキシン類に暴露されたマウス胎仔の口蓋ヒダ,掌蹠紋理を観察し,これらのパターンのダイオキシン類の発生毒性検出指標としての意義を検討することを目的とした。 ダイオキシン類として,最も毒性が強いとされ2,3,7,8-tetrabromodibenzo-p-dioxin(以下TCDDと略)と,コプラナーPCBの一種で毒性がTCDDの0.1倍といわれる3,3′,4,4′,5-pentachlorobiphenyl(以下PCBと略)の二つの毒物について研究を進めた。陽性対照物質としてall-trans-retinoicacid(以下RAと略)を用いた。Jcl: ICRマウスを交配し,膣栓発見日を胎児齢0日として,口蓋ヒダ及び掌蹠パッドのパターン異常誘発時期である妊娠12.5日にTCDD, PCBまたはRAの種々量を1回経口投与した。妊娠18.5日に母体を屠殺し,胎仔を取り出した。胎仔の頭部はブアン液で固定し,その口蓋ヒダを,四肢は10%ホルマリン液で固定し,その掌蹠パッドを,実体顕微鏡下で観察した。 TCDDは10μg/kg以上の投与量で用量-反応関係をもって口蓋ヒダ異常を誘発した。異常の型としては短小,外側癒合が多かった。しかし,100%近くの胎仔に口蓋裂が誘発される40μg/kg量でも掌蹠パッド異常は全く誘発されなかった。陽性対照実験に用いたRAでは,口蓋ヒダ異常は口蓋裂誘発閾値(20mg/kg)の1/10以下の0.6mg/kgでも誘発され,掌蹠パッド異常は指異常誘発閾値(40mg/kg)の1/10以下の1.25mg/kgでも誘発された。PCBについては現在実験中である。これらの所見から,ダイオキシン類の発生毒性検出指標として,口蓋ヒダ異常は意義があるが,掌蹠パッド異常は意義がないと結論された。
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[Publications] Tsugane, M. 他: "Dermatoglyphics on volar skin of mice: The normal pattern." The Anatomical Record. 242. 225-232 (1995)
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[Publications] 下國英樹 他: "四肢誘発奇形におけるマウス掌蹠皮膚紋理の特徴について.-催奇形因子によるパターンの相違-" 日本手の外科学会雑誌. 11. 871-874 (1995)
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[Publications] Yasuda, M. 他: "Features of variant patterns of mouce palatal rugae." Congenital Anomalies. 35. 387- (1995)
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[Publications] 安田峯生 他: "ダイオキシンによるマウス口蓋裂誘発機序の再検討." 環境科学会1995年会講演要旨集. 6 (1995)