1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07264210
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小山 文隆 東京大学, 医学部(医), 講師 (40194641)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井原 康夫 東京大学, 医学部, 教授 (60114386)
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Keywords | クロロキンミオパチー / big tau / small tau / アルツハイマー病 / リン酸化 |
Research Abstract |
クロロキンミオパチー(CM)ではアルツハイマー病(AD)のPHFの主要構成成分であるtauの蓄積が報告されている。tauはこれまで神経系特異的蛋白質と考えられてきたことから、次の2つの(互いに排除しない)可能性が考えられた。1.tauは神経系以外にも広く発現している。2.クロロキンミトパチーにおいて遺伝子発現が変化しtauが蓄積した。これらの可能性を検証するため、RT-PCR法とtauの特異抗体を用たWestern blotting法を用いて解析した。調べた限りのラット組織においてtauは存在しており、分子量的に二種に大別できた。ここでは分子量に応じてそれぞれをbigおよびsmall tauと呼ぶことにする。Small tauはこれまで中枢神経系に、big tauは末梢神経系に、存在することが報告されている。筋肉ではbig tauが発現しており、small tauはほとんど認められなかった。以上の結果から、これまで神経系特異的蛋白質と考えられてきたtauは、神経系以外にも正常筋肉を始め広く発現していることがわかった。筋組織でもtauが発現していたので、CM作製のタイムコースとtauの分子種および修飾について蛋白質レベルから検討した。クロロキンの連続投与によりtauの量も増加し約56日をピークに減少した。発現しているtauの分子種は投与前には末梢神経型のbig tauのみだが、CM処理後は、量的には少ないが、中枢神経型のsmall tauが認められた。アルカリフォスファターゼ処理後に分子量の変化が認められることから筋肉のtauはリン酸を受けていることが分かった。リン酸化部位依存性のモノクローナル抗体C5(Ser-396のリン酸化を認識する)の反応性はクロロキン投与後顕著に上昇し、big、small tauともに反応した。これらのことからCMのtauのリン酸化は、PHFのtauほどではないが、昂進していることがわかった。ここで示したtauの解析から、CMは細胞変性時のtauの挙動を検討する上で有効な実験モデルになと考えられる(Oyama etal.,投稿準備中)。
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[Publications] Gu.Y.,Oyama F.,and Ihara Y.: "Tau is widely expressed in rat tissues" Journal of Neurochemistry. (in press). (1996)
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[Publications] 小山文隆: "クロロキン・ミオパチーラット" 内科. 77(印刷中). (1996)