1995 Fiscal Year Annual Research Report
細胞膜脂質のコレスタノール置換による神経細胞死のメカニズム
Project/Area Number |
07264212
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
脊山 洋右 東京大学, 医学部(医), 教授 (90010082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加納 和孝 東京大学, 医学部(医), 助手 (70111507)
久保田 俊一郎 東京大学, 医学部(医), 助教授 (00260480)
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Keywords | 脳腱黄色腫症 / CTX / コレスタノール / 神経細胞死 / プルキンエ細胞 |
Research Abstract |
脳腱黄色腫症の中枢神経症状は、中枢神経にコレスタノールが蓄積し、最終的に神経細胞死を引き起こすためと我々は考えている。そこでこの機構を解明するために正常ラット小脳顆粒細胞に対するコレスタノールの与える細胞障害性を調べた。[方法]1.Wistar系ラットオス5週齢を1%コレスタノール含有食、対照として1%コレステロール含有食、普通食(CE-2)で6週間飼育した。6週目に小脳を摘出し、光学顕微鏡にて形態学的変化を調べた。1週間ごとに血清と小脳組織を採取し、HPLC法によりコレステロール、コレスタノール濃度の測定を行なった。2.正常ラット小脳顆粒細胞の初代培養を行った。正常な6-9日齢のWistar系ラット小脳をトリプシン処理により分離・播種し、37℃、5%CO_2インキュベータ-内で基本培地DMEMF12と10%FCSにて培養した。1日後、7.5%高コレステロール含有血清+2.5%FCS、7.5%高コレスタノール含有血清+2.5%FCS、7.5%普通食群ラットの血清+2.5%FCSに分けて培養を続けた。[結果]1.Wistar系ラットを異なる脂質含量の食餌で飼育したところ、1週間後より血清コレスタノール値はコレスタノール含有食群において他の2群に比べ0.01%水準で有意に増加していた。飼育6週間後のラット小脳組織内コレステロール値は3群間に有意差を認めなかったが、コレスタノール値はコレスタノール食群が他の2群に比べ0.01%水準で有意に増加していた。6週間後のラット小脳の光学顕微鏡による病理組織像においてHE染色では3群間での差は見られなかったが、ズダンブラックB染色では、コレスタノール食群ラット小脳のみにプルキンエ細胞に薄く黒く染まる脂肪滴が見られた。コレスタノール食の影響によりプルキンエ細胞への異常な脂質の蓄積が生じたと考えられる。2.ここで得られた高コレスタノール含有血清を用いて9日間培養した初代培養ラット小脳顆粒細胞内のコレスタノール値は、普通食群血清にて培養した細胞に比べ5%水準で有意に上昇していた。
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Research Products
(2 results)