1995 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞死の制御要因としての可溶性カルシウムの結合蛋白質
Project/Area Number |
07264228
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小倉 明彦 大阪大学, 理学部, 教授 (30260631)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富永 恵子 大阪大学, 理学部, 助手 (60256196)
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Keywords | 神経細胞死 / 細胞内Ca動態 / Ca結合蛋白 / ヒポカルシン / 興奮毒性 / 遺伝子導入 |
Research Abstract |
本研究は重点領域研究の公募研究などで単年度申請となっているが、実質は2年計画の初年度である。ある種の神経細胞に高濃度に発現している可溶性カルシウム結合蛋白質の生理的意義を解明することを目的とし、全体として(1)COS-7細胞へのhippocalcin(HIP)-cDNAの導入・発現、(2)導入細胞と非導入細胞との細胞内カルシウムイオン(Ca)動態の差の検討、(3)部分的に改変した変異HIP遺伝子の導入・発現とCa動態の比較、(4)培養神経細胞へのHIPの導入・過剰発現、(5)導入細胞のグルタミン酸毒性抵抗性の変化検討、という計画を立て、平成7年度においては(1)(2)(3)を行う予定であった。さて、(1)についてはSV40系のコスミドベクターにHIP-cDNAを組み込み、DEAE-dextran法によって一過的発現を図って成功した。これを用いて(2)の検討に移り、ionomycinによって細胞内Ca濃度を強制的に上げた後の回復速度、すなわちCa排出能が、発現細胞で高まっていることを見出した。一般に神経細胞などの非増殖性の細胞への外来遺伝子の導入・発現は困難とされているが、(4)を行うためにはこれを克服する必要がある。その導入系としてアデノウイルスベクター系に着目して基礎検討を開始した。CAGプロモーターを用い、導入外来遺伝子としてクラゲ由来の緑色蛍光蛋白(GEP)遺伝子を組み込んだウィルス粒子を感染させたところ、24時間以内に細胞が蛍光を発し、導入遺伝子の発現が確認された。現在はGFPに代わってHIPおよびHIP-GFPキメラを組み込んだベクターを作成中である。これを作成次第、(5)の検討に移る予定である。本年度は(4)を優先させたため(3)は未着手であるが、現在HIPのどのドメインに変異を導入すべきか検討中である。
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[Publications] Hama,T.: "A 13-mer peptide of a brain-injury-derived protein supports neuronal survival" Journal of Biological Chemistry. 270. 29067-29670 (1995)
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[Publications] 小倉明彦: "培養神経細胞の細胞内カルシウム測定「バイオマニュアル」" 羊土社(印刷中),
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[Publications] 冨永恵子: "脳切片培養法「神経細胞培養法(畠中寛編)」" シュプリンガー日本(印刷中),