1995 Fiscal Year Annual Research Report
シグナル伝達系におけるクロストークポイントとしてのBAAモチーフ
Project/Area Number |
07268221
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
谷口 寿章 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 助教授 (10257636)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 宣宏 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 助手 (80267955)
千谷 晃一 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 教授 (60179942)
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Keywords | シゲナル伝達 / NO合成酵素 / リン脂質 / リン酸化 |
Research Abstract |
Cキナーゼの主要基質タンパク質であるMARCKSは、細胞外からの刺激に応じ、膜画分と細胞質画分間を移行することが知られている.またCキナーゼやホスホリパーゼC、一酸化窒素合成酵素(NOS)など、シグナル伝達系で重要な役割を果たしている多くのタンパク質も同様の現象を示す.我々はこの可逆性の膜結合機構を解明する過程で、MARCKSや同じファミリーに属すHLGAP-43がカルモジュリン結合部位でホスファチジルセリンなどの酸性リン脂質と特異的に結合し、その結合がリン酸化により可逆的に調節されることを見出している.本年度は内皮細胞型のNOSのカルモジュリン結合部位と思われる部位に相当するペプチドを合成し、そのカルモジュリン、リン脂質との相互作用を、円偏光二色性、蛍光、NMRにより解析した.その結果、NOSはこの部位でこの両者と結合することが明らかとなった.また、このペプチドがCキナーゼによりリン酸化され、リン酸化がカルモジュリン、リン脂質との相互作用に影響を及ぼすことを見出した.従って、このドメインがリン酸化に依存した細胞内移行シグナルであると考えられた.この部分は、いわゆるBAA(basic amphipihlic α-helix) 構造をとり、本来カルモジュリン結合モチーフとして見出されたものである.この部位でのCキナーゼ、カルモジュリン、酸性リン脂質の結合は互いに拮抗的であり、またCキナーゼによるリン酸化はカルモジュリン、酸性リン脂質との結合を阻害する.このように一つのモチーフがいくつもの重要な経路と相互作用するため、BAAモチーフ、更にこのモチーフを持つ蛋白質はシグナル伝達系における重要なクロストークポイントであると考えられた.
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[Publications] Manenti, S. et al.: "Demyristoylation of myristoylated alanine-rich C kinase substrate." Biochem. Soc. Trans.,. 23. 561-564 (1995)
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[Publications] Hayashi, N. et al: "Structural studies of tRNAs by capillary high performance liquid chromatography/ electrospray mass spectrometry." Nucleic Acids Res. Symp. Ser.34. 153-154 (1995)
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[Publications] 谷口寿章: "キャピラリーLC/MS法による蛋白質・核酸の修飾の解析" J. Mass Spectrom. Soc. Japan. (印刷中). (1996)