1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07272103
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石川 隆俊 東京大学, 医学部, 教授 (30085633)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中別府 雄作 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (30180350)
鈴木 友和 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (20028517)
横崎 宏 広島大学, 医学部, 講師 (10200891)
秋山 公祐 岡山大学, 医学部, 助手 (30222540)
清水 憲二 岡山大学, 医学部, 教授 (10037286)
|
Keywords | 遺伝子変異 / DNA複製 / DNA修復 / ミスマッチ修復 / MTH1遺伝子 / 遺伝子多型 / メチルトランスフェラーゼ / ヒト腫瘍 |
Research Abstract |
本研究では、人体腫瘍についてミュテーター遺伝子の異常の検索を行うことを目的とする。本年度は以下の研究成果が得られた。1)O^6-メチルグアニンDNAメチルトランスフェラーゼ(MGMT)遺伝子では、若年者癌での検索からcodon160にアミノ酸変化(Gly→Arg)を伴う多型を見いだし、大腸菌発現ベクターを用いた多型発現実験でMGMT活性を野生型MGMTと比較検討したが有意な差は認められなかった。しかし、最近の研究報告からこの多型ではMGMT活性阻害剤として臨床応用が考えられているベンジルグアニンに非感受性であることが報告されている。また、約500例の患者末梢血についてMGMT遺伝子変異解析を行った結果、V1(codon84 Leu→Phe)、V2(codon65 Trp→Cys)、V3(codon180 Gua→Ade)の遺伝子多型の存在が明らかとなり、変異遺伝子をMGMT活性の欠くHeLa細胞に導入し、MNNG暴露に対する生存曲線を比較するとV2多型は他に比べ高感受性を示した。また蛋白発現を調べるとV2多型では発現が低く検出できず、V2蛋白質が極めて不安定であると考えられた。2)日本で単離されたミスマッチ修復遺伝子hMSH3はhMSH2とヘテロダイマーを形成しdeletion/insertionミスマッチを認識する。40例の造血器悪性腫瘍未治療患者についてhMSH3遺伝子の発現を検索し、60%の症例で発現の消失ないし低下が観察された。また、40例の造血器悪性腫瘍、79例の弧発生大腸癌でmicrosatellite instabilityを認めた症例についてSSCP法によりhMSH3遺伝子の変異を検索したところ、少数例でエクソン1、エクソン7にリピート配列数の変異が見られた。3)8-oxo-dGTPase(MTH1)蛋白はヌクレオチドプール中の8-oxo-dGTPを浄化し、突然変異率を低下させる。肝癌患者104例、肺癌患者186例、健常人400例についてMTH1遺伝子変異の検索を行い、codon83に2つの対立遺伝子Va183(GTG)、Met83(ATG)の多型を認めた。多型のホモ接合体頻度は健常人に比べ肝癌患者及び肺癌患者で高い傾向が認められた。各々の多型由来蛋白質を大腸菌で発現させ、高次構造や活性を比較した場合、Met83 MTH1蛋白はVa183 MTH1蛋白質に比較して、発現が低く、熱に不安定であることが明らかになった。また、肝芽腫1例ではじめて癌部での体細胞変異(codon72のTTC→TCTへの変異)を認めた。タイの食道癌患者で癌部と健常部についてMTH1のRNAレベルでの発現をRT-PCR法で比較すると癌部で高い発現を示した。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Oda,H.,Ishikawa,T.et al.: "Somatic mutations of the APC gene in sporadic hepatoblastomas." Cancer Res.56. 3320-3323 (1996)
-
[Publications] Wada,H.,Shimizu,K.et al.: "Rejection antigen peptides on BALB/CRL♂1 lukemia recognized by cytotoxic Tlymphocytes;Derivation from the normally untranslated 5-region of the c-akt proto-oncogene,activated by LTR." Cancer Res.55. 4780-4783 (1995)
-
[Publications] Ono,Y.,Akiyama,K.,et al.: "Developmental expression of APEX unclease,a multifunctional DNA repair enzyme,in mouse brains." Deve.Brain Res.86. 1-6 (1995)
-
[Publications] Higashikawa,K.,Yokozaki,H.,et al.: "Evaluation of CD44 transcription variants in human digestive tract carcinomas and normal tissues." Int J.Cancer. 66. 11-17 (1996)
-
[Publications] Otsuka,M.,Suzuki,T.et al.: "Polymorphism in the human O^6-methylguanine-DNA methyltransferase gene detected by PCR-SSCP analysis." Pharmacogenetics. 6. 361-363 (1996)
-
[Publications] Taketomi,A.,Nakabeppu,Y.et al.: "Requirement of two conserved cysteine residues of Ada protein of Escherichia coli for transactivation of ada promoter." Mol.Gen.Genet.250. 523-532 (1996)