Research Abstract |
1.膵癌に関しては,前年度CGH法,FISH法,マイクロサテライト法等により検出した染色体増幅・欠失領域のうち,6q,12qにおいて詳細に検討を加えた。その結果,12qでは2か所の,6qでは3か所の共通欠失領域を同定した。これらの領域ではYAC,BAC,PACによるコンティングの作成を行い,12qは1cM以内と650kb以内の共通欠失領域であり,また,6qの1か所では500kb以内であった。 2.子宮内膜癌については,CGH法,FISH法,マイクロサテライト法により10q25-q26に2か所の高頻度の染色体欠失領域を同定た。1997年に報告された10q23のPTEN1遺伝子は,子宮内膜癌において高頻度に異常が見られたが、同定した共通欠失領域はPTEN1遺伝子よりもtelomere側であった。共通欠失領域のうちの1か所についての詳細な検討の結果,その領域を790kb以下にまでせばめることができた。当領域におけるYAC,BAC,PACによるコンティングを作成し,解析を進めている。 3.肺癌では16q24において,また,腎癌では3p14-p21において,非常に狭い範囲の共通欠失領域を同定した。 4.DNAミスマッチ修復異常の下流に位置するゲートキ-パ-遺伝子の異常として,タンパクコード領域に繰り返し配列を含むIGFIIR遺伝子,BAX遺伝子において異常のスクリーニングを行い,大腸癌,胃癌,子宮内膜癌ではIGFIIR,BAXの異常がみられるが,膵癌では異常はみられないことを明らかにした。膵癌では,発がん過程で大腸癌,胃癌,子宮内膜癌と異なる遺伝子異常が関与しているものと考えられた。 5.hMSH2遺伝子,hMSH6遺伝子にはsplicingのバリエーションがあり,これらはいずれも正常組織でみられること,また,バリアントの発現量は低いことを明らかにした。
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