1995 Fiscal Year Annual Research Report
細胞周期におけるレチノブラストーマタンパクの機能制御
Project/Area Number |
07272239
|
Research Institution | Japanese Foundation For Cancer Research |
Principal Investigator |
畠山 昌則 財団法人癌研究會, 癌研究所・ウイルス腫瘍部, 部長 (40189551)
|
Keywords | レチノブラストーマ(RB)遺伝子 / レチノブラストーマタンパク / 細胞周期 / リン酸化 / サイクリン / サイクリン依存性キナーゼ / 酵母 |
Research Abstract |
我々は既に酵母を用いたヒトpRBの誘導発現系を樹立するとともに、pRBのG1細胞周期特異的リン酸化(不活化)が酵母内できわめて高度に再現できることを明らかにしている。この系におけるpRBリン酸化に直接関与する酵母分子を同定するため遺伝子破壊法を用いて一連の酵母G1サイクリン欠損株を作製し、それら細胞株のpRBリン酸化能を検討した。その結果、pRBリン酸化には酵母細胞の有する3つのG1サイクリンのうちのある種のコンビネーションが必須となることが明らかとなった。このコンビネーションはCln2+Cln3あるいはCln1+Cln3である。一方これまでの研究から、これらG1サイクリン存在下に活性化されるCDKとしてCdc28が示されてきたが、Cdc28の温度感受性変異体を用いた解析からpRBリン酸化における同分子の重要性がより直接的に証明された。しかしながら酵母におけるpRBリン酸化/不活化にはCdc28活性のみでは不十分であり、第二の酵母CDKと考えられるPho85がCdc28とともに重要な役割を担うことが明らとなった。Cln2あるいはCln3を欠失させヒトpRBリン酸化能を失った酵母細胞株にヒト由来サイクリンcDNAを導入した結果、Cln2の機能はサイクリンEによりまたCln3の機能はサイクリンD1により相補された。 前述したPho85欠損株はpRBリン酸化能を欠く一方、Cdc28欠損株と異なり継続的な細胞増殖が可能である。そこでPho85欠損株を用いヒト分子によるpRBリン酸化の再構成を試みるため、新たに4つの異なる選択マーカー(ADE2,TRP1,LYS2,HIS3)を利用した酵母cDNA発現ベクターを作製した。これら発現ベクターにヒト由来サイクリンD1,D2,D3,E,B1,C,ならびにCDK2,CDK4,CDK6,CDC2cDNAを組み込んだ後Pho85欠損酵母細胞に遺伝子導入し、複数個のヒトサイクリン-CDK複合体を同時発現する安定変異株を樹立した。現在、これらトランスフェクタントを用いpRBリン酸化に直接関与するヒト由来サイクリン-CDKならびにその組み合わせの検討を進めている。
|
-
[Publications] HATAKEYAMA,M: "The cancer cell and the cell cycle." Cold Spring Harbor Symposia on Quantitative Biol.59. 1-10 (1995)
-
[Publications] HATAKEYAMA,M: "The role of RB in cell cycle control." Progress Cell Cycle Res.1(in press). (1996)