1996 Fiscal Year Annual Research Report
細胞周期におけるレチノブラストーマタンパクの機能解析
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07272239
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Research Institution | Japanese Foundation For Cancer Research |
Principal Investigator |
畠山 昌則 財団法人癌研究會, 癌研究所ウイルス腫瘍部, 部長 (40189551)
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Keywords | 癌抑制遺伝子 / 細胞周期 / 細胞増殖 |
Research Abstract |
ヒト由来のサイクリンならびにCDK分子を異所性共発現させることにより細胞周期をヒト分子により再構成した出芽酵母を用い、サイクリンE-CDK2ならびにサイクリンD1-CDK4からなるG1サイクリン-CDK複合体が協調的に関与するpRBリン酸化/不活化機構の存在を示すことに成功した。現在、各々のサイクリン-CDK複合体活性は異なる細胞増殖関連上位シグナルにより制御されているものと推察されている。したがって、pRB不活化に際し複数のサイクリン-CDK複合体が関与するという事実は、pRB分子が多様な細胞増殖関連シグナル(情報)をリン酸化の形で細胞内外から集積・統合することにより、細胞増殖の最終的な意思決定を下す局面に直接関与している可能性を分子レベルで説明しうるものと考えられる。酵母モデル系を用いて得られたこれらの知見を哺乳動物細胞において検証するため、テトラサイクリン制御プロモーターを改変しきわめて高度な発現制御能をもつ哺乳動物細胞内遺伝子発現誘導系を確立した。この発現誘導システムにおいては、非誘導時における強い蛋白発現の抑制とテトラサイクリン除去による強力な誘導が期待され、pRBに代表される細胞増殖抑制能を持つ蛋白の機能解析に強力な手段を提供する。この発現誘導系を用いてヒトpRBcDNAを増殖因子依存性マウスリンパ系細胞細胞株に導入し、pRBを迅速かつ強力に誘導発現する一連の安定変異細胞株を樹立した。現在、pRBの細胞内発現レベルが細胞の増殖・分化能に与える影響に関し検討を加えている。
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[Publications] 畠山昌則: "RBと細胞周期" 血液・免疫・腫瘍. Vol1.161-174 (1996)
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[Publications] 前田達哉、畠山昌則: "RB癌抑制遺伝子と細胞周期" 血液・腫瘍科. (印刷中).
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[Publications] 畠山昌則: "分子腫瘍学" 佐藤昇志、菊地浩吉, 487 (1996)