1995 Fiscal Year Annual Research Report
赤血球産生調節機構における細胞内領域欠損型エリスロポエチン受容体の機能解析
Project/Area Number |
07273208
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中村 幸夫 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (60231479)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中内 啓光 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (40175485)
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Keywords | 赤血球 / エリスロポエチン / 受容体 / 細胞内領域欠損型 / アポトーシス |
Research Abstract |
我々はエリスロポエチン受容体(EPOR)の解析を進める中で以下の報告をしてきた。(1)EPORには細胞内領域を大きく欠損した受容体(EPOR-T)が存在し生理的にも大量に発現している。(2)このEPOR-Tは幼若な赤芽球においてことに大量に発現している。(3)EPOR-Tを共発現している細胞は完全長型の受容体(EPOR-F)のみを発現した細胞よりもEPO存在下での増殖活性が低く、またアポトーシスによって死に易い。EPOR-Tの生体内での機能を解析するべく、EPOR-FまたはEPOR-T過剰発現トランスジェニックマウスの作製を試みた。マウスEPOR-Fまたは-TのcDNAをサイトメガロウイルス由来のエンハンサーとチキンのベータアクチンのプロモーター下流に結合させたプラスミドコンストラクトを作製し、一般的な方法に従ってマウス受精卵にインジェクションした。EPOR-FおよびEPOR-Tそれぞれに3匹のファウンダーを得た。ファウンダーのうちそれぞれ2匹において、EPOR-FまたはEPOR-TのmRNAの過剰発現を確認した。EPOR-T-Tgマウスは貧血を呈し、骨髄やヒ臓中においても赤芽球系細胞が減少していた。さらにフェニルヒドラジンによる溶血性貧血誘導実験ではEPOR-T-Tgマウスはワイルドタイプのマウスに比較して明らかに死に易い傾向を示した。EPOR-T-Tgマウスの骨髄細胞を用いたコロニーアッセイまたはCFU-Sアッセイにおいても赤芽球の低形成を認めた。EPOR-Tは生体内においても、エリスロポエチン(EPO)シグナルに対してドミナントネガティブに作用する分子であることが証明された。
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[Publications] Nakamura et.al.: "Role of a truncated erythropoietin receptor for erythroid differentiation" Biochem. Biophys. Res. Commun.218. 205-209 (1996)
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[Publications] 中村幸央、中内啓光: "アポトーシマ研究の最前線(分担執筆)" 羊土社、実験医学、増刊号, 238 (1995)
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[Publications] 中村幸央、中内啓光: "Mebio.10月号.アポトーシスと臨床医学(分担執筆)" メディカルビュー、Mebio.10月号, 147 (1995)