1995 Fiscal Year Annual Research Report
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07273230
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
門松 健治 名古屋大学, 医学部, 講師 (80204519)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村松 喬 名古屋大学, 医学部, 教授 (00030891)
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Keywords | ミッドカイン / 形質転換 / NIH3T3細胞 / ノックアウトマウス / 酵素免疫測定法 |
Research Abstract |
1.ヒトがんにおけるミッドカイン(MK)の挙動 : 組織型にこだわらず多種のヒトがんでみられるMKの高頻度高発現を明かにした。このことは、p53の突然変異の例からも推察されるようにMKがヒトがんの成り立ちに深く関わる可能性を示唆する。一方、ヒトMKの高感度酵素免疫測定法を確立。肝がん患者の血清中MKが健常人に比して有意に高値であることを見した。さらに第3エクソンが欠失した変異型のMK(蛋白レベルでN末側の半分を欠いたもの)を発見し、これががん組織で特異的に発現することを見出した。2.がん発生とMK : ジエチルニトロサミン(DEN)によるラット肝癌誘発モデルではDEN投与後6週という非常に早期のFosi(前癌部)からMKの発現を認めた。一方、MKがNIH3T3細胞を形質転換することを見出した。特記すべき特徴は細胞の足場(基質)からの顕著な易遊離性であった。以上の結果はMKが細胞がん化の初期のステージで機能することを示唆した。その一方、MKがウシ大動脈内皮細胞に働いて線溶系を亢進させることが私たちに研究室のグループにより見出されている。つまりここにはがんの浸潤・転移にかかわるプラスミン系を介したMKの介入の可能性が示されている。3.MKノックアウトマウス : さらに今年度の大きな成果としてMKのノックアウトマウスの作出が挙げられる。これをマウスを用いた発癌実験系に応用することで、MKとがんとのクリティカルな関係が解明されると期待される。 今後、懸念上解明されるべき課題は2つあると見られている。1つはがん化、がん進展におけるMKのクリティカルステージの同定。例えば、ヒトがんで、MKは前癌状態から影響を及ぼすのか?動物モデルにおける前癌状態の可逆性と、MKの挙動に関連はあるか?転移巣とMKの関連はあるか?2つ目は、MKの細胞内シグナル伝達機能構の解明。MKファミリーはMKとプレイオトロフィンからなる新しい成長因子のファミリーである。いづれも、受容体の同定が未だなされていない。シグナル伝達機構の解明がMKの生物学を理解する上で急務であると考えている。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Kaname,T.: "The expression of truncated MK in human tumors." Biochem.Biophys.Res.Commun.(in press).
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[Publications] Aridome,K.: "Increased midkine gene expression in human gastrointestinal cancers." Jpn.J.Cancer Res.86. 655-661 (1995)
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[Publications] Sekiguchi,K.: "Restricted expression of Xenopus midkine gene during early development." J.Biochem.118. 94-100 (1995)
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[Publications] Koike,C.: "Introduction of α (1,2) fucosyltransferase and its effect on α-Gal epitopes in transgenic pig." Xeno-transplantation. (in press).