1995 Fiscal Year Annual Research Report
癌浸潤における癌細胞と間質細胞の産生する細胞外基質蛋白の役割
Project/Area Number |
07273231
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
吉田 利通 三重大学, 医学部, 講師 (80166959)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂倉 照予 三重大学, 医学部, 教授 (80073120)
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Keywords | 乳癌 / 細胞外マトリックス / 癌浸潤 |
Research Abstract |
ECM蛋白を発現は「いつ」「どこで」「どの細胞で」起こっているか。また、産生は腫瘍細胞側と宿主側で起こり、ECM蛋白の機能は両者での産生を分けて考える必要がある。これらに注目して研究を行った。 1.ヒト乳癌組織のテネイシン(TN)、フィブロネクチン(FN)のプローブによるin situ hybridization(ISH)では、乳癌細胞と間質の線維芽細胞の両者でこれらの細胞外マトリック(ECM)蛋白が産生されていることが明かとなった。癌が大きな集塊を形成しているときに、癌細胞による発現がみられ、集塊が小型化し、浸潤が活発であるときには、間質側で顕著であった。TN、FNのalternative splicing siteのプローブのISHでは、TNでは分布は変わらず、FNではED-Aを含むmRNAの発現部位はTNとよく一致していた。 2.GR系マウス乳癌でも、乳癌細胞と間質細胞の両者に発現が認められ、TNのalternative splicing exonのプローブでも同じ染色パターンを示した。 3.GR系にバッククロスしたTNノックアウトマウスおよびヘテロマウスに自然発生する乳癌から乳癌細胞株を樹立し、in vitroにおけるTN発現を検討した。ホモマウスからの乳癌細胞は、雑種GRマウスに発生する乳癌細胞と比較し平坦であり、TNの細胞機能と考えられる反接着性と一致する。これらの細胞にはTN遺伝子をノックアウトするときにレポータ遺伝子としてlacZ遺伝子が組み換えられている。この発現をモニターすることにより、樹立された乳癌細胞株でTN遺伝子の発現を調べた。乳癌細胞の細胞シートが剥離し大型で球状の集塊を作るとき、培養細胞に染色をみとめ、そこから遊出する細胞にも染色を認めた。 これらの結果から、TN他のECM蛋白の発現は癌浸潤に伴う癌細胞・間質細胞の遊走に関連している可能性が示唆された。
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[Publications] Yoshida,T.,Ishihara,A.,Hirokawa,Y.Kusakabe,M.aand Sakakura,T.: "Tenascin in breast cancer development-Is epithelial tenascin a marker for poor prognosis." Cancer Lett. 90. 65-73 (1995)
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[Publications] Vaidya,T.,Yoshida,T.,Sakakura,T.,Yatani,Y.Noguchi,T.and Kawarada,Y.: "Combined analysis of expression of c-erB-2, Ki-67 antigen and tenascin povides a better prognostic indicator of carcinoma of the papilla of Vater." Pancreas. 12. 196-201 (1995)
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[Publications] Ishihara,A.,Yoshida,T.,Tamaki,H.,Sakakura,T.: "Tenascin expression in cancer cells and stroma of human breast cancer and its prognostic siginificance." Clin Cancer Res. 1. 1035-1041 (1995)