1995 Fiscal Year Annual Research Report
新Cskファミリー「Hylチロシンキナーゼ」による細胞分裂異常の分子機構
Project/Area Number |
07273255
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
山口 直人 熊本大学, 医学部, 助教授 (00166620)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須田 年生 熊本大学, 医学部, 教授 (60118453)
|
Keywords | チロシンキナーゼ / Hyl / Src型キナーゼ / Csk / 細胞分裂 / 染色体分配 / 多核化 |
Research Abstract |
ヒト細胞でのSrc型キナーゼの細胞分裂における制御機構を明らかにするために、Cskとファミリーを形成するHylの機能解析をおこなった。 1.我々が単離したHylチロシンキナーゼは、Src型チロシンキナーゼの抑制的制御作用を持つCskと構造上きわめて類似しているが、血液細胞と脳でのみHylとCskの両者の発現があり、他の細胞種では、Cskの発現しか認められない。単クローン性抗体を作製してHylの細胞内局在を調べたところ、血小板では主に膜画分に、COS細胞を用いた一過性発現では核内にも局在し、細胞質内に主に存在しているCskと機能的差異が予想された。 2.Hylの機能を調べるために、ヒト血液細胞株KMT-2にHylを恒常的過剰発現させた。得られた全てのクローンは染色体数の増加と多核化を起こし、分裂期での染色体整列・分配の異常および細胞質分裂抑制と多核化細胞の3次元的分裂を示した。 3.Hyl過剰発現細胞において、Src型キナーゼのうち、Lynに選択的な自己リン酸化の抑制が認められ、自己リン酸化抑制はLynの酵素活性を上昇させた。Hyl過剰発現により、複数の蛋白のチロシンリン酸化の亢進が起こり、特に、分裂期特異的に出現するチロシンリン酸化蛋白p65を見い出した。このp65が細胞質分裂抑制に重要な働きをしていることが考えられる。 4.Hyl遺伝子欠損マウスを作製した。生まれてきたマウスの外見は一応正常であり、成熟細胞のエフェクター機能についての詳細な検討が必要である。Hylはin vitroでは、Cskと同様に、Src型キナーゼのC末端チロシンをリン酸化するが、本研究で示したように、in vivoで、細胞内局在およびSrc型キナーゼ制御機構の相違・Hyl過剰発現による表現形から、HylとCskの役割分担を予想させる。今後、Hylの基質およびp65の同定などを行い、細胞分裂制御機構を明らかにしてゆく予定である。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Yamaguchi N: "Golgi retention mechanism of β-1,4-galactosyltransferase : membrane-spanning domain-dependent homodimerization and association with α-and β-tubulins." J.Biol.Chem.270. 12170-12176 (1995)
-
[Publications] Iwama A: "Terminal differentiation of murine resident peritoneal macrophages is characterized by expression of the STK protein tyrosine kinase,a receptor for macrophage-stimulating protein." Blood. 86. 3394-3403 (1995)
-
[Publications] Hashiyama M: "Predominant expression of a receptor tyrosine kinase,TIE,in hematopoietic stem cells and B cells." Blood. 87. 93-101 (1996)