1995 Fiscal Year Annual Research Report
発作性夜間血色素尿症(PNH)クローンの腫瘍性増殖機構の解析
Project/Area Number |
07273256
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中熊 秀喜 熊本大学, 医学部, 講師 (90207746)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川口 辰哉 熊本大学, 医学部, 助手 (50244116)
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Keywords | 発作性夜間血色素尿症 / 増殖機構 / SCIDマウス / CD34陽性細胞 / 骨髄幹細胞 / 骨髄移植 |
Research Abstract |
発作性夜間血色素尿症(PNH)は造血幹細胞の変異に起因し、溶血、造血不全、血栓症など多彩な病態を呈する。最近判明した溶血機序以外は依然不明である。後天性幹細胞変異、クローン性増殖、正常造血抑制や白血病発生などPNHクローンは血液がんの特徴を有する。予想される増殖異常とその分子機構解明は複雑病態の理解に必須と考え、まず先天性重症複合免疫不全(SCID)マウスにPNHと正常骨髄のCD34^+細胞を移植し造血再構築能を比較検討した。マウスは予め放射線照射して自己造血や免疫能を抑制し、移植後はヒトサイトカインにて造血刺激を加え、経時的に末梢血、脾臓および骨髄における血液細胞を、ヒト血球特異抗体おびヒトDAFやCD59抗体を用いたフローサイトメトリーや免疫蛍光染色、さらにRT-PCRを用いたヒトPIG-A遺伝子検出法にて解析した。その結果、PNH骨髄移植マウスにのみヒト三血球が検出され、全てPNH表現形質を呈した。この造血は10箇月余続き、多能性PNH幹細胞由来と考えられた。正常造血は初期条件下で認められず、PNH幹細胞の造血優位が判明した。この優位は移植片生着率、増殖能や生存率により規定されるが、サイトカイン刺激強化で正常移植片造血も認められ生着率の差は考え難い。一方、PNH造血はサイトカイン刺激を必須とせず、PNHクローンの内因性増殖異常が示唆された。また、免疫障害の当マウスでは免疫監視機構逸脱性の生存優位も成立困難で、結局、PNHクローンの内因性増殖異常に起因する造血優位が最も妥当と考えられた。この増殖異常解明はPNH病態および血液がんの増殖異常解明にも貢献すると予想し、正常とPNHクローン間に発現差を認める遺伝子の中に責任遺伝子を検索している。なお,このPNH造血マウス(SCID-hu/PNH)は今後のPNH研究に格好の生体モデルになると思われる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Horikawa K.,et al.: "Cyclosporin-resposive pancytopenia and HLA class II alleles of a patient with poroxysmal nocturnal hemoglobinuria." Int.J.Hematol.(in press).
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[Publications] Nakakuma H.et al.: "Proposal for a classification of the clinical stages of paroxysmal nocturnal hemoglobinuria." Blood. 86. 2051-2052 (1995)
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[Publications] Nakakuma H.,et al.: "Paroxysmal nocturnal hemoglobinuria clone in bone marrow of patients with pancytopenia." Blood. 85. 1371-1376 (1995)