1996 Fiscal Year Annual Research Report
エイズの病態と制御に関する基礎研究柱2.病態のウイルス学的基盤
Project/Area Number |
07277102
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永井 美之 東京大学, 医科学研究所, 教授 (20022874)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 康彦 三重大学, 医学部, 教授 (00022872)
星野 洪郎 群馬大学, 医学部, 教授 (00107434)
原田 信志 熊本大学, 医学部, 教授 (60173085)
生田 和良 北海道大学, 免疫科学研究所, 教授 (60127181)
岩本 愛吉 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10133076)
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Keywords | HIV / 体内変異 / 病態 / V2 / V3 / シアル酸 / センダイウイルスペクター |
Research Abstract |
本研究はエイズ病態の進行及びそれとは逆の発症を未然におわらせる諸条件をウイルス遺伝子の側から解明することを目的に開始された。HIV-1 Env蛋白質のV2-V3領域の解析から、V3の塩基性苛電を強める変化と病態の進行の相関に加えてV2の遺伝子重視が発症には至るが比較的穏やかな進行を示すグループに特異的にみられることがわかった。すなわち、長期未発症者を含む多数の症例について、V3の特定部位における中性又は酸性アミノ酸の塩基性アミノ酸の変化はエイズを発症するほぼすべての固体内で起るのに対し、V2鎖の延長は早期発症者にはみられず、緩やかではあるがやがては発症に至るほぼすべての例で観察された。V2の延長はウイルスのマクロファージ向性の喪失と関連していた。さらに、長期末発症者と早期発症者との間での細胞傷害性T細胞エピトープの比較を開始した。また、HIV-1表面シアル酸による感染能の負の制御、不完全ウイルスによる正常CD4+及びCD8+細胞のアポトーシス、CD4受容体を介さない感染の可能性、ウイルス膜融合反応を制御する宿主分子の同定など新しいユニークな知見が得られた。上記シアル酸はウイルス表面の負荷電に貢献、同様に負荷電性の細胞表面と反発することにより感染性を低めるものと考えられた。培養液中にシアリダーゼを添加することで、感染者リンパ球からのウイルス分離効率が上昇することも示された。加えて、(1)鎖RNA型センダイウイルスをcDNA化し、HIV-1 Env蛋白質を大量生産することにも成功、Envの構造生物学研究などに新しい可能性を示唆した。
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[Publications] Hu,H.: "Infectivities of human and other primate lentiviruses are activated by desialylation of the virion surface." J.Virol.(in press).
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[Publications] Kato,A.: "Initiation of sendai virus multiplication from transfected viral cDNA or RAN with negative or positive sense." Genes to Cells. 1. 569-579 (1996)
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[Publications] Kato,A.: "The paramyxovirus,Sendai virus,V protein encodes aluxury function required for viral pathogenesis." EMBOJ.16. 578-587 (1997)
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[Publications] Kameoka,M.: "Induction of apoptosis by protease defective particles of human immunodeficiency virus type-1 is specific to a subset of U937-derived subclones." Int.Immunol.8. 1687-1697 (1996)
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[Publications] Ohgimoto,S.: "Regulation of HIV gp160-mediated cell fusion anti-fusion regulatory protein-1(FRP-1) antibodies." J.Gen.Virol.77. 2747-2756 (1996)
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[Publications] 永井美之: "医系微生物学(ヒト免疫不全ウイルス分担)" 朝倉書店, 4 (1996)
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[Publications] 永井美之: "医科分子生物学(HIVとエイズ分担)" 南江堂, 10 (1997)