1995 Fiscal Year Annual Research Report
抗p17抗体および抗p17抗体標識リポソームによるHIVの増殖抑制
Project/Area Number |
07277212
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
上田 重晴 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (90068453)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 倫子 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (00273699)
|
Keywords | ヒト免疫不全ウイルス / マトリックス蛋白 / 単クローン抗体 / エピトープ / 交差免疫反応 / p17蛋白 / V3ループ / 増殖抑制 |
Research Abstract |
私たちが作成したヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)のマトリックス蛋白p17に対する単クローン抗体は中和活性を持たないが、HIV-1感染細胞の培養液中に添加すると、24時間以内に培養液中に放出されるHIV-1の感染価を10分の1に低下させることを明らかにしていたので、この抗体の作用機構を明らかにし、ひいてはエイズの治療ならびに発病阻止に対する有効な生物学的手段を開発することを目的として、本研究を開始し、今年度は以下の成果を得た。 1.HIV-1のキャリアである一人の血友病患者の血清抗体を分画し、HIV-1のenvおよびp17との反応性を調べる過程で、双方の蛋白に交差反応を示す抗体が存在することを見出した。抗原として用いたp17の部分ペプチドとの反応性から、この交差反応にかかわるp17のエピトープは第30〜52番目のアミノ酸領域(p30-52)にあることが明らかになった。 2.上記のp17の領域に対する単クローン抗体を新たに15種類作成し、これらの抗体の交差反応性をELISAとB1A∞reバイオセンサーで解析した。14種類の抗体にenv V3ペプチドとの交差反応性が認められ、そのうち6種類の抗体はp30-52に対するアフィニティが高く、交差反応性も強いことが確認できた。 3.交差反応性が認められた14種類の抗体のうち、間接法蛍光抗体法でHIV-1 JMH-1株感染細胞表面上の抗原との反応が認められた抗体は8種類であった。 4.これら8種類の抗体のうち、HIV-1 JMH-1株感染MT-4細胞の培養液中に添加し、上清中の感染価を10分の1以下に減少させた抗体は3種類であった。 5.今後は、これらの抗体のうち最もアフィニティが高く、交差反応性も強い抗体を選択し、感染抑制のメカニズム解析を行うことと、その抗体を用いてジフテリア毒素フラグメントA封入リポソームを標識し、HIV-1感染細胞の選択的破壊実験を行う。
|
-
[Publications] Sakuragi,J., et al.: "Generation and characterization of a host cell-dependt gag gene mutant of human immuodeficiency virus type 1" Virology. 212. 251-254 (1995)
-
[Publications] Lie,X., et al.: "Theree antigenic regions in p17 of human immunodeficiency virus type-1(HIV-1)revealed by mouse monoclonal antibodies and human antibodies in HIV-1 carrier sera" Microbiol.lmmunol.39. 775-785 (1995)