1995 Fiscal Year Annual Research Report
生体内におけるHIV増殖及び病態発現の制御法としてのアンチセンスの研究開発
Project/Area Number |
07277219
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
松倉 誠 熊本大学, 医学部, 助手 (70238997)
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Keywords | アンチセンスDNA / HIV / ウイルスベクター / トランスジェニックマウス / 自殺遺伝子 |
Research Abstract |
H9マウス腹腔内に12週生日より、1mgのフォスフォロサイオエイトDNAオリゴマー溶液を連日7日間投与したが、特に毒性はなく安全に投与することが出来た。また、より早期からの投与スケジュールは2〜3週生日に0.2mg、4〜5週生日に0.5mgと5〜10週生日に1.0mgを投与した場合にも体重減少等の毒性は認められなかった。この実験はHepatitis B VirusのトランスアクチベータのHBxを挿入したトランスジェニックマウスで行なった。これらのデータは今後のSCID-huマウスでの投与計画に予備実験として用いることが出来ると考えた。 アンチセンスDNAによるHIV増殖抑制のみでなくウイルスベクターを用いた遺伝子治療によるHIV制御法を検討するために、HIVベクターを作成しHIV感染特異的に遺伝子発現をコントロールする試みを行なった。つまりHIV-tatがHIV感染により細胞内で合成されることによる、HIVベクターのLTRの制御下にある遺伝子を特異的に活性化する試みである。代表的自殺遺伝子であるTymidine kinase遺伝子をプロトタイプの遺伝子として挿入して検討を行なった。CD4-HeLa細胞とリンパ球系樹立細胞のH9細胞を用いて遺伝子挿入後にHIV感染によるガンシクロビールの細胞毒性の誘導を検討したところ、感染細胞のみにガンシクロビールの毒性が著しく認められた。このことよりHIVベクターは標的細胞特異性を持ち(即ちCD4陽性細胞に特異的)、挿入遺伝子の発現をHIV感染特異的にコントロールできる事が判明した。今後、アンチセンスDNAと並んで生体内でのHIV増殖抑制の方法として検討を進めて行くこととなった。
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[Publications] 松倉誠: "アンチセンス分子による遺伝子発現の制御" 蛋白質 核酸 酵素. 40. 1378-1382 (1995)
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[Publications] 松倉誠: "ウイルス感染の治療" 小児科. 36. 1191-1194 (1995)
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[Publications] Makoto Matsukura,et al.: "Antisense phosphorothioates as antivirals against human immunodeficiency virus (HIV) and hepatitis B virus (HBV)" Toxicology Letters. 82/83. 435-438 (1995)
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[Publications] Kyoji Moriya,et al.: "In Vivo Inhibition of Hepatitis B Virus Gene Expression by Antisense Phosphorothioate Oligodeoxynucleotides" Biochemical and Biophysical Research Communication. 218. 217-223 (1996)