1995 Fiscal Year Annual Research Report
長期増強現象におけるグルタミン酸トランスポーターの制御機構に関する研究
Project/Area Number |
07278228
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
斎藤 尚亮 神戸大学, バイオシグナル研究センター, 教授 (60178499)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 規雄 神戸大学, バイオシグナル研究センター, 助手 (70263407)
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Keywords | グルタミン酸 / トランスポーター / リン酸化 / グリア細胞 / 脱リン酸化 / 長期増強 |
Research Abstract |
長期増強の研究は、主にグルタミン酸神経を中心とした神経系の情報伝達系について行なわれ、長期増強の発現には、複数の細胞内情報伝達系のクロストークによる神経機能の修飾が深く関与していることが明らかになってきた。しかし近年、神経系のみならずグリア細胞もその発現に関与していることが報告され、長期増強現象のメカニズムを理解するには、グリア細胞のグルタミン酸神経伝達における働きを明らかにすることが必要である。我々はグリア細胞に存在し、グルタミン酸神経伝達を司るグルタミン酸トランスポーターに注目し、グルタミン酸トランスポーターに対する細胞内情報伝達系の影響及び、てんかんモデルであるキンドリングラットにおけるグルタミン酸トランスポーターについて検討した。その結果、グルタミン酸トランスポーターがPKCによって活性調節されること、また、脱リン酸化酵素によっても、活性が調節されることを見いだした。この事実は、グルタミン酸神経伝達において神経伝達の終了の速度がグルタミン酸トランスポーターのリン酸化・脱リン酸化によって調節されることを示し、長期増強現象の分子メカニズムにはグルタミン酸トランスポーターの活性調節も深く関与しうることを示唆した。また、可塑性のモデルとしても用いられるキンドリングラットでは、グリア型グルタミン酸トランスポーターの発現が、限られた脳の部位で増加、あるいは減少していることから、可塑性の発現にはグルタミン酸トランスポーターの遺伝子発現調節機構も関与しうることが示唆された。以上の結果から、グルタミン酸受容体と同様に、グルタミン酸トランスポーターも神経可塑性の発現に関与しており、今後さらに分子レベルでの検討が長期増強現象の解明のために必要であると考えられる。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Saijoh, K.他: "Molecular cloning of cDNA encoding a bovine selenoprotein P-like protein containing 12 selenocysteines and a (His-Pro) rich domain insertion, and its regional expression." Molecular Brain Research. 33. 301-311 (1995)
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[Publications] Honda, S.他: "Immunocytochemical localization of three subtype of GABA transporter in rat retina." Molecular Brain Research. 33. 319-325 (1995)
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[Publications] Itouji, A.他: "Neuronal and glial localization of two GABA transporters (GAT1 and GAT3) in the rat cerebellum." Molecular Brain Research. (印刷中).
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[Publications] Koga, T.他: "Presynaptic and Ca2+-independent PKC subspecies modulates NMDAR1 current." NeuroReport. (印刷中).
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[Publications] 斉藤尚亮: "神経系におけるタンパク質リン酸化酵素Cサブタイプの局在と機能" 日本薬理学会誌. 105. 127-136 (1995)
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[Publications] 斉藤尚亮: "GABAトランスポーターの分子薬理学" 医学のあゆみ. 105. 241-244 (1995)
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[Publications] 斉藤尚亮: "プロテインキナーゼC." 細胞. 28. 23-28 (1996)