1995 Fiscal Year Annual Research Report
ヘルペスウイルスベクターによるグルタミン酸受容体の遺伝子発現とその制御機構の解析
Project/Area Number |
07279235
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
川本 進 横浜市立大学, 医学部, 講師 (80125921)
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Keywords | グルタミン酸受容体 / NMDA受容体 / イオンチャネル / ヘルペスウイルスベクター / ウイルスベクター / 中枢神経系培養細胞 / 遺伝子発現 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
我々は従来より、バキュロウイルスベクター・昆虫培養細胞系を用いてAMPA型及びNMDA型グルタミン酸受容体チャネルサブユニットの発現系を構築し、その分子的、機能的解析を行ってきている。しかるに、個体脳を含んだ神経系細胞に感染・発現できる本HSV系により更にその解析を進めるため、NMDA受容体εファミリーサブユニットについてHSV系を構築し、解析しつつある(分子生物学会年会発表(1994年、1995年)、FEBS Meeting発表予定(スペイン、1996))。ε1及びε2サブユニットcDNAをパッケージング用ベクタープラスミド(amplicon plasmid)のCMVプロモーターの下流に組み込み、組換え型HSVを作製した。まず、得られたウイルスについてRT-PCR、ドットブロットを行いDNAの組み込まれていることを確認した。次に、Vero細胞に感染させ、ウェスタンブロットを行い、それらの発現を確認できた。発現した本受容体について生化学的な解析を行うと共に、本ウイルスを用いて、それらのノックアウトマウスも含め、in vivoでの感染実験を計画している。更に、遺伝子の転写開始点より5'上流域をβ-ガラクトシダーゼ・レポーター遺伝子の上流につなぎ、個体における遺伝子発現制御を調べる、いわゆるin vivoプロモーター解析は従来、トランスジュニックマウス等を用いて行われてきたが、本HSV系を用いて、個体脳内in vivoプロモーター解析を行うべく、NMDA型ζ1サブユニット等の遺伝子5'上流域をβガラクトシダーゼ・レポーター遺伝子の5'上流につないだHSVクローンを構築し、PC12細胞を用いて解析を進めている。更に、脳の悪性腫瘍に対する遺伝子治療用ベクターの可能性も視野に入れ、インターフェロンγ、インターロイキン2の本HSV系を構築し、検討している。
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[Publications] Kawamoto,S.: "N-Linked glycosylation of the α-amino-3-hydroxy-5-methylsoxazole-4-propionate(AMPA)-selective glutamate receptor channel α2 subunit is essential for the acquisition of ligand-binding activity." Journal of Neurochemistry. 64. 1258-1266 (1995)
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[Publications] Kawamoto,S.: "Expression and characterizatio of the ζ1 subunit of the N-methyl-D-aspartate(NMDA)receptor channel in a baculovirus system." Molecular Brain Research. 30. 137-148 (1995)
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[Publications] 川本,進: "バキュロウイルスベクターを用いて発現したNMDA型グルタミン酸受容体ζ1サブユニットの解析" 生化学. 67. 596 (1995)
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[Publications] 服部,聡: "バキュロウイルスベクターおよびヘルペスウイルスベクターを用いたNMDA受容体チャネルεサブユニットの発現・解析" 第18回日本分子生物学会年会プログラム・講演要旨集. 359 (1995)
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[Publications] 服部,聡: "ニューロサイエンスラボマニュアル2:神経生物学のための遺伝子導入発現研究法" 中川八郎・吉川和明(シュプリンガー・フェアラーク東京)(印刷中), (1996)