1995 Fiscal Year Annual Research Report
大きな一群の蛋白質P450の共通点と個別点を統合する立体配置ルールの究明
Project/Area Number |
07280224
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
今井 嘉郎 大阪府立大学, 農学部, 教授 (60029949)
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Keywords | P450 / ヘム遠位周辺の構造 / ヘム鉄・リガンド相互作用 / 細胞内発現系 / 人工変異体 / 構造機能相関性 |
Research Abstract |
1.テストステロンおよび脂肪酸を共に代謝する肝臓の薬物代謝型P450 2B5について野性型および遠位Thr→Lys変異体を大腸菌で発現させたことを試み、発現プラスミドで形質転換した大腸菌を得た。現在、発現を確認中である。予備テストの結果、Lys変異体はこれまでにLys変異体を形成して性質を検討済である薬物代謝型の3分子種と比べて還元型が極端に422nm型にあることが判った。2B5は基質特異性が非常に広い典型的分子種であるので、そのことの構造的根拠を見出すことを目指して、今後、詳細な検討を進めたい。 2.P450としてはユニークな酵素活性を示すP450norを大腸菌で高効率に発現・精製する系を確立できた。更に、遠位Thr→Lys,His,Argの各変異体および遠位Thrの前後4残基→Lysの各変異体を作成し、精製してスペクトル的性質と酵素活性を調べた。その結果、遠位ヘリックスの大まかな配置は他分子種と同様に保存されているが、遠位Thrとヘム鉄とのトポロジカルな関係は他分子種と異なり、特に還元状態では、Lysのεアミノ基はヘム鉄に届かない位置あるいは状態に置かれていることが示唆された。ヘム遠位近傍に疎水性物質が結合する基質結合部位を持たず、また、還元状態で分子状酸素を結合しないというこの分子種の特性と関りのあることが推測され、今後、具体的な構造を明らかにしたい。 3.P450norのヘム遠位近傍の状態を知る目的で外来性配位子の結合作用を調べ他分子種の場合と比較した。酸化型では大差ないが、弱い配位子は結合せず、他分子種の場合とは異なる影響が現われた。一方、還元型では窒素性配位子は結合せず、また、P450分子種の個性が顕著に現われるイソシアニドが結合したときは"非正常型"を示し、様子が異なることが判った。これらの事実をヘム遠位近傍の立体構造と結びつけることを目指し、検討したい。
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