1995 Fiscal Year Annual Research Report
抗体CDRのアミノ酸配列と抗原特異性の相関関係の解析-人工抗体ライブラリーとデータベースを基礎として-
Project/Area Number |
07280225
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
黒沢 良和 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 教授 (10109259)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊庭 善孝 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 研究員
伊藤 渉 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 講師 (50192498)
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Keywords | ファージ抗体 / 抗体ライブラリー / PCR / CDR / カロリメーター / 抗HEL抗体 / 抗原結合力 |
Research Abstract |
我々は、抗体の抗原結合部に相当する抗原相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列を多様化した抗体ライブラリーを作製し、抗原特異性とCDRのアミノ酸配列の相関関係を体系的に解析することを目標に研究を進めている。抗原一抗体反応は、CDRのアミノ酸が形造る立体構造と抗原の構造が相補的てであること、そしてその接触面に形成される様々な物理化学的結合力(例えば水素結合、ファンデルワールス力等)をdriving forceにして起こると考えられているが、CDRのアミノ酸配列が多様であることから、アミノ酸配列のみからその抗原特異性を予想することは現段階では非常に困難である。 今回我々は、抗ニワトリ卵白リゾチーム(HEL)抗体であるD1.3の配列を基に、重鎖で2.6×10^7種、軽鎖で9.4×10^7種からなり、全体で2×10^8の独立したファージ抗体ライブラリーを作製し、その中に含まれる抗HEL活性を示すクローンの性質を解析した。HELにファージ抗体を結合した後、ファージ粒子を回収するpanning操作を三回繰り返すと最終的に得られたファージは、その95%が抗体HELA活性を示した。それらのクローンのアミノ酸配列は次のような性質を有していた。VH鎖では29、33、35、52-58、95、100-102番目の残基がVL鎖では50、51、90-92番目の残基が相互に同じアミノ酸残基であった。このことは、多様化したアミノ酸配列の中で、HELとの結合面を形成するために、幾つかの残基が必須であることを示唆する。得られた抗体はHELに対して1.48×10^6〜7.71×10^6M^<-1>の結合力を示し、10^6M^<-1>以下の結合力しか持だないものはpanning操作の過程で除かれたと考えられる。 今後、更に多くの抗体ライブラリーを作製し、様々な抗原に対してどのような性質をCDR配列に付与するとどのような抗原特異性が獲得されるかを解析する。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Y. Iba: "A new system for the expression of recombinant antibody in mammaliam cells." Biotech. Lett.17. 135-138 (1995)
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[Publications] W. Ito: "Mutations in the CDRs do not cause differences in free energy during the process of formation of an activated complex betweem antibody and protein antigen" J. Mol. Biol.248. 729-732 (1995)
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[Publications] K. Hashimoto: "A gene outside the human MHC related to classical HLA class I genes." Science. 269. 693-695 (1995)
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[Publications] Y. Kurosawa: "The immunoglobulin superfamily: where do invertebrates fit in?" Adv. Comp. Envir. Physiol.23. 151-184 (1996)