1995 Fiscal Year Annual Research Report
酵母を用いた核膜蛋白質局在化機構の遺伝・細胞生物学的研究
Project/Area Number |
07282210
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉久 徹 京都大学, ウイルス研究所, 助手 (60212312)
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Keywords | SEN2 / YGLO22 / 核膜 / タンパク質局在化 / 酵母 |
Research Abstract |
酵母細胞で核内膜に局在化する蛋白質の候補として、tRNA processing endo-nucleaseサブユニットSen2pと、高等生物のlamin B receptorに相同性のあるYgl022pの二つが挙げられている。内膜への膜蛋白質局在化の解析の第一歩として、これらの蛋白質の酵母細胞内での局在化を細胞分画法と蛍光観察法によって確認した。 まず、Sen2pにHAおよびc-Mycタグを融合したHA-Sen2p-Mycを発現する多コピープラスミドをもつ酵母菌株より、Ficoll密度勾配遠心を用いて核画分を調整したところ、この融合蛋白質はこの核画分に濃縮されていた。HA-Sen2p-Mycの可溶化には、1%Triton X-100に加え1MKClが必要であることから、核膜を貫通するのみならず、nuclear laminaなどの蛋白質高次構造とも相互作用している可能性が高い。 次に、Sen2pおよびYgl022pとGreen Fluorescent Protein (GFP)との融合蛋白質発現系を用いて、in vivoでのこれらの蛋白質の分布を蛍光顕微鏡下で観察した。GFP-Sen2pは明らかな核局在を示し、細胞によっては核膜表面の1つないしは2つの小さな領域がきわめて強く標識されていた。この系では、GFP-Sen2pはかなりの過剰生産となっており、tRNE processing endonucleaseが3サブユニットからなることを考慮すると、Sen2p自身に核に局在化するためのシグナルが存在する可能性を示唆している。一方、GFP-Ygl022pは、核のみならず、その他のER領域にも存在した。現在、これが、Ygl022pの本来の局在様式なのか、過剰生産によるミスロカリゼーションなのかを検討中である。今後は、これらの蛋白質中の、核膜移行シグナルを検索し、その核膜への局在化過程を明らかにして行きたい。
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