1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07283223
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
太田 邦史 理化学研究所, 遺伝生化学研究室, 研究員 (90211789)
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Keywords | 減数分裂 / 酵母 / 組換え / 組換えホットスポット / クロマチン / DNA二重鎖切断 |
Research Abstract |
遺伝的組換えは、減数分裂において著しい活性化を受けるが、その仕組みについては不明な点が多い。出芽酵母減数分裂期組換えの大半は、ホットスポットと呼ばれる染色体領域に生じるDNAの二重鎖切断によって開始される。これまでに、このホットスポット領域のクロマチンが、ヌクレアーゼの攻撃を受けやすいオープンな状態になっていること、またクロマチン構造が減数分裂期に変化し、さらにヌクレアーゼの攻撃を受けやすいある種の状態をとることを示した(Ohta et al., EMBOJ. 13,5754,1994)。本年度は、まずクロマチン構造変化が起きる箇所を塩基配列のレベルで決定した。その結果、クロマチン構造変化は、ホットスポットの領域内の複数の箇所で発生していることを明らかにした。最近、他のグループにより二重鎖切断部位も塩基配列レベルでは多数の箇所で生じることが明らかにされた。その結果と比較すると、クロマチン構造変化が二重鎖切断部位に近接した部分に集中して起きていることがわかった。次に、クロマチン構造変化に関わる遺伝的要因を調べ、二重鎖切断に必須な遺伝子であるMRE2とMRE11がクロマチン構造変化に関与していることを明らかにした。一方、二重鎖切断に必須なRAD50遺伝子を破壊した株では、有為なクロマチン構造変化が認められた。RAD50とMRE11の二重変異株について調べると、クロマチン構造変化はMRE11欠損株と同程度にまで抑制されていた。以上の結果から、1)クロマチン構造変化が組換え開始に必要な因子に依存していること、2)クロマチン構造変化は二重鎖切断より前に起こる反応であることが示された。また、RAD50とMRE11の遺伝子産物同士が複合体を形成している可能性が示唆されていることを考えあわせると、クロマチン構造変化はMRE11遺伝子産物を含む組換え開始複合体がホットスポット上に相互作用する状態の反映であると考えられる(投稿準備中)。また上記研究過程で、減数分裂期に活性化されるミトコンドリア由来の新規のエンドヌクレアーゼを見出し、その性質を明らかにした(Mol. Gen. Genet. 印刷中)。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Ohta, K.: "Endo. Skl: an inducible site-specific endo uuclease from yeast mitochandria." Mol. Gen. Genet.250(in press). (1996)
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[Publications] 柴田武彦: "相同組換え開始制御における染色体の機能" 実験医学. 13(増刊). 103-108 (1995)