1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07301001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Co-operative Research (A)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
柏原 啓一 東北大学, 文学部, 教授 (30008635)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
座小田 豊 東北大学, 大学院・国際文化研究科, 助教授 (20125579)
竹内 修身 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 助教授 (30117577)
宮武 昭 中央大学, 文学部, 教授 (70004091)
本間 謙二 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (80111186)
須田 朗 中央大学, 文学部, 教授 (00004078)
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Keywords | 歴史的研究 / 主観性 / 相対主義 / 懐疑 / 確実性 / 神 / 社会批判 / 歴史性 |
Research Abstract |
今年度は主に研究分担者の個別分担テーマに即して、各人の専門領域における歴史的研究を行ってきた。これまで2回の合同研究会を開催し、それぞれ4名の研究発表を行い、討論を重ねた。また各分担者がそれぞれ資料収集等を行い、その成果の一端を雑誌論文、著書、翻訳等として発表・刊行した(または予定である)。本研究に関して大まかに言って、主にふたつの問題がクローズアップされた。一つは、主観性理論の展開に時代の科学的知見が色濃く反映しているという点、つまり、不動の、いわば時代を通底する根拠を目指していたはずの主観性理論をそれ自身が歴史性に大きく制約されているということである。そして今一つは、「科学的に客観的たれ」という主張それ自体が、特定の社会的主体にとっての仮説であり要請にすぎないということ、言いかえれば科学主義を唱えることが取りも直さず相対主義を推進することに繋がるということである。主観性理論は、懐疑と相対化の流行という、まさしく逆流のなかでこそ重要な展開を見せる。したがって、主観性理論の展開は、哲学者の個人的な述懐というよりはむしろ、明らかに社会批判という意味と視点をもっているといわなくてはならない。これに対して科学は、社会的欲求によって突き動かされているにもかかわらず、自らの全体的な意味を問題にせずに、普遍性・斉一性「客観性」といった確実性の基準を設定することによってカモフラージュし、かえって相対主義を助長する役割を果たす。ということは、科学主義の側も実をいえば、科学者のみならず、科学者が属する社会の主観主義的在り方によってその方向性を規定されるということである。次年度は以上の成果および問題点を、自由・神・懐疑・自然等々の諸テーマに関接させながら討究する予定である。
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Research Products
(11 results)
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[Publications] 須田朗: "『ソフィーの世界』の哲学的テーマ" 中央評論. 214. 52-60 (1995)
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[Publications] 須田朗: "『判断力批判』「崇高の分析論」読解" 中央大学文学部哲学科紀要. 164. 71-91 (1996)
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[Publications] 後藤嘉也: "非現前の現前,あるいは存在することの彼方" 哲学(日本哲学会). 46. 220-229 (1995)
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[Publications] 座小田豊: "無限性と主観性-近代における自由のアポリア-" ヨーロッパ研究(東北大学大学院国際文化研究科ヨーロッパ文化論講座). 創刊号. 71-95 (1996)
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[Publications] 座小田豊: "社会批判-事故実現の思想" 現代の思想(輪田他編・金港堂). 25-45 (1996)
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[Publications] 佐々木俊三: "精神分析" 現代の思想(輪田他編・金港堂). 125-143 (1996)
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[Publications] 座小田豊(共著): "ヘーゲル『精神現像学』入門" 有斐閣, 323 (1996)
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[Publications] 須田・宮武・竹内・中村・本間・座小田・佐々木・後藤(共著): "哲学の古典101" 新書館, 235 (1996)
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[Publications] H・ハイムゼ-ト・座小田・須田・後藤・宮武・本間: "近代哲学の精神" 法政大学出版局, 448 (1995)
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[Publications] ノーマン・O・ブラウン・宮武昭・佐々木俊三: "ラヴズ・ボディ" みすず書房, 446 (1995)
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[Publications] ポール・リク-ル・中村文郎・竹内修身・他: "意志的なものと非意志的なものIII" 紀伊國屋書店, 276 (1995)