1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07301011
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
森 孝行 中京大学, 文学部, 教授 (20065163)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大倉 政輝 甲南女子大学, 文学部, 教授 (90093202)
古賀 一男 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教授 (30089099)
吉村 浩一 金沢大学, 文学部, 助教授 (70135490)
太城 敬良 大阪市立大学, 文学部, 教授 (00047250)
御領 謙 千葉大学, 文学部, 教授 (70008960)
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Keywords | 空間知覚 / 知覚的空間枠組 / 変換視 |
Research Abstract |
本研究の目的は,視野(網膜像)の空間座標を,逆転・反転・回転等の操作で変換する「視野変換(変換視)」事態における知覚・認知・行動遂行の適応的ふるまいの崩壊と再適応(順応)の過程を,自己-外界体制における知覚的空間枠組の構造化と再構造化の問題であると把えて,その過程の機序を実験的・理論的に示すことにあった。加えて,空間知覚一般における「基準系」の意義・役割を考える上での基本的な理論枠組に一知見を加えることにあった。 視野変換への知覚的順応の過程や,先天盲開眼被術者の視知覚生成の過程は,基本的には,自己および外界認知の基準系となる体制化された空間枠組の構造化・再構造化の過程であり,またこの再構造化は,視覚情報と自己受容感覚はじめ諸感覚情報の統合化の過程に他ならないことが,より明らかにされた。 加えてまた,空間枠組(空間的基準系)の形成・再形成に促進的または妨害的に作用するいくつかの要因の存在が明らかになってきた。しかし,これらの要因の効果は,たとえば各種の変換様式(上下・左右などの極変換か,傾斜などの少量変換かなど)によっても相当に異なり,一見ケース・バイ・ケースといわざるを得ないように多義多様である。だが,より統合的な比較分析をすると,それら要因やその効果が一見個別事態によって異なりつつも,その作用機序が,空間的基準形の成立・維持・再構成の共通基盤となる「媒介機序」に関与していると考えられる。また,このような機序の役割は,近年工学分野で取り上げられるいわゆる仮想現実感の現実技術の基盤としても貢献していると考えられる。
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