1996 Fiscal Year Annual Research Report
高等教育システムの構造変動が費用負担に及ぼす影響に関する政策研究
Project/Area Number |
07301033
|
Section | 総合 |
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
矢野 眞和 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 教授 (30016521)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 文裕 椙山女学園大学, 人間関係学部, 助教授 (60144888)
金子 元久 東京大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (10185936)
山本 眞一 筑波大学, 大学研究センター, 教授 (10220469)
菊地 城司 大阪大学, 人間科学部, 教授 (00027963)
市川 昭午 国立学校財務センター, 教授 (00000050)
|
Keywords | 高等教育 / 教育経済学 / 資金調達 / 生涯学習 / 学術政策 |
Research Abstract |
本年度は、ボ-ダレス化が進む高等教育システムの中核を形成する「国立大学」の今後のあり方に関する政策的検討を重点的に行った。 1.国立大学の存在理由---ここでは、行政改革の検討対象となっている国立大学をとりあげ、歴史的経緯や文部省・国立大学の問題認知、危機的状況の実態把握に加えて、「個性化」「自由化」など臨教審以後に主流となった新たな教育理念の影響にまで踏み込んだ検討を行なった。これは、私立大学を含めた高等教育全体のアカウンタビリティに直結する議論でもある。2.国立大学の設置形態---ここでは、「国立大学私学化論」や「地方移管論」などの批判的検討を行い、国立大学の新しい設置形態のあり方と移行に付随して起こる諸問題の構図を整理することにより、その成否について検討を行なった。さらに、新たな設置形態の原型となる可能性を持つ私立大学の財務構造について実証的な分析を進めつつある。3.国立大学の教育コストー--ここでは、FTE係数による補正や高等学校との比較を通じて大学の教育コストの推計を行うことにより、財政的には国立大学における研究機能が最大の問題点であることを明らかにした。同時に、推計された私立大学のコストをもとに、私立大学の学費や私学助成のあり方についても議論を深めている。 上記のサブテーマに加えて、4.大学教育のマス化と知識生産モードの変容がもたらす高等教育機関と研究機関とのボーダーレス化の実態分析、5.生涯教育および地域社会の観点からみた高等教育システムの将来展望、などについても作業を進めつつある。平成9年度には、これらの研究成果を踏まえ、高等教育システム全体を支える資金調達および費用負担のあり方について再構築を行いたい。
|