1996 Fiscal Year Annual Research Report
ライフ・コース・リサーチにもとづく教師の力量形成の研究
Project/Area Number |
07301037
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
松平 信久 立教大学, 文学部, 教授 (70097228)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 準二 静岡大学, 教育学部, 教授 (50144051)
佐藤 学 東京大学, 教育学研究科, 助教授 (70135424)
佐々木 尚毅 秋田挂城短期大学, 地域社会学科, 助教授 (70222007)
前田 一男 立教大学, 文学部, 助教授 (30192743)
寺崎 昌男 立教大学, 文学部, 教授 (20062573)
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Keywords | ライフ・コース / ライフヒストリー / 教師の専門的力量 / コ-ホ-ト / 長野(県)師範学校 / 戦時下の教育 / 戦後新教育 / 教師教育 |
Research Abstract |
1、平成7年度に引き続き、長野師範学校昭和24年3月卒業のコ-ホ-トを対象とした教師のライフコース研究を進めて来た。教師の専門的力量がどのような要因と経過によって形成されるかを探ることが主な目的である。本年度は、昨年度に行った質問紙調査への回答者の中から25名を選び、その対象者たちに面接調査を行った。 2、このコ-ホ-トは、少年期から青年前期にかけて戦時下教育を受け、師範学校在学中に敗戦を迎え、戦後新教育が開花しつつあった時期に教職の道を歩み出している。教職にあった時期は戦後の昭和期の激動の時代であった。そのような、歴史的・社会的な共通基盤をもちながら、個々の回答者の教師としてのライフヒストリーには著しい差異がある。その差異の要因として、家庭や地域における幼児体験、小中学校時代の学校体験、特に教師との出会い、長野師範学校入学以前の海外経験の有無、師範学校時代の学生運動に対する関わり方、赴任した学校の状況、そこでの同僚や先輩から受けた影響などが考えられる。 3、本研究グループがすでに行った長野県師範学校昭和6年3月卒業コ-ホ-ト対象調査との比較を行っている。幼少期の経験内容、戦争や敗戦を迎えた年齢、社会的・政治的状況から受ける影響度の違いなどが、二つのコ-ホ-トの教育観・教師観・力量形成の契機などの差異を生む要因になっていると考えられる。 4、教師を育てる場としての学校の状況は、昭和6年卒コ-ホ-トと昭和24年卒コ-ホ-トの間に、ある程度の共通性はもちながらも、大きな変化がある。その変化の節目を昭和30年代の前半期とする回答が多かった。 5、このコ-ホ-トが退職を迎えた時期は不登校、いじめ、非行などが目立ち始めた頃であり、回答者の教職観にかなり大きな影響を与えている。
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