1996 Fiscal Year Annual Research Report
西洋哲学史における新プラトン主義の影響作用史の研究---古代から近世に至るまで---
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07301059
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Research Institution | Kogakkan University |
Principal Investigator |
水地 宗明 皇學館大学, 文学部, 教授 (10024994)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 守通 東北大学, 教育学部, 助教授 (40214407)
山口 義久 大阪府立大学, 総合科学部, 助教授 (30118004)
今 義博 山梨大学, 教育学部, 助教授 (30115315)
大森 正樹 南山短期大学, 人間関係科, 教授 (70132264)
岡崎 文明 金沢大学, 教育学部, 教授 (20117005)
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Keywords | 新プラトン主義 / プロティノス / プロクロス / アウグスティヌス / スコトゥス・エリウゲナ / グレゴリオス・パラマス / ジョルダノ・ブルーノ / ヘーゲル |
Research Abstract |
平成7〜8年度の2年間にわたる研究によって得られた成果は次のとおりである。 1.新プラトン主義(特にプロティノス、ポルピュリオス、ヤンプリコス、プロクロスの哲学)の解明 (1)従来やや不明確であった「新プラトン主義」の本質的諸特徴を明確に規定した。 (2)プロティノス哲学の基本的特色の一つである「発出論」の意味内容を詳細に分析した。 (3)新プラトン主義の本質的特徴の一つである「一者」の思想を理論的、歴史的に解明することに努めた。 以上の3点で、従来の水準を超えた研究成果が得られたように思う。 2.新プラトン主義の後代への影響の研究 (1)新プラトン主義の中世への主要な影響として、アウグスティヌス(4〜5世紀)、偽ディオニシウス・アレオバギタ(500年頃)、エリウゲナ(9世紀)、トマス・アクィナス(13世紀)、グレゴリオス・パラマス(14世紀)などへの影響を調査検討した。 (2)近世哲学への影響の事例として、ルネサンス期イタリアの哲学者たち、特にジョルダノ・プル-ノ(16世紀)への影響と、ヘーゲル(18-19世紀)へのそれを取り上げて研究した。 これらの思想家を新プラトン主義の影響という観点から研究することは、従来はあまり行なわれなかったことであり、注目すべき成果が得られたように思う。 3.以上の研究成果の具体的な内容は、学会誌等のほかに、次の文献で発表される。(1)科研費の「研究成果報告書」(平成9年3月)、(2)水地宗明・岡崎文明編『新プラトン主義を学ぶ人のために』(世界思想社、近刊予定)、(3)水地宗明他編『ネオプラトニカ』(昭和堂、近刊予定)。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 岡崎文明: "プロクロスにおける「一者」の研究(三)" 金沢大学教育学部教育工学研究. 22号. 33-40 (1996)
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[Publications] 岡崎文明: "トマス・アクィナスにおける「一」の研究" 金沢大学教育学部教科教育研究. 32号. 87-96 (1996)
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[Publications] 大森正樹: "光と闇の神学(変容の光とシナイの神の闇)" 南山短期大学紀要. 24号. 182-200 (1996)
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[Publications] 今義博: "神の自己意識の生起-エリウゲナにおける発出の第一段階" 山梨大学教育学部研究報告. 47号. (1997)
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[Publications] 山口義久: "カルネアデスの懐疑主義" 人文学論集(大阪府立大学人文学会). 15集. 31-45 (1997)
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[Publications] 山口誠一: "日本の『精神現象学』研究史" 法政大学教養部紀要(人文科学編). 100号. 61-92 (1997)
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[Publications] 今義博(共著): "人間学-その歴史と射程(金子晴勇編)" 創文社, 242 (1995)
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[Publications] 水地宗明(共編): "新プラトン主義を学ぶ人のために" 世界思想社(予定), 260 (1997)